「プロ野球カード」でおなじみのカルビー「プロ野球チップス」が、今年発売から40年を迎えた。同社でカード制作を担当した、カードライターのしゅりんぷ池田氏によれば、「売り上げは巨人の成績に左右された」という「プロ野球チップス」。売れ行き面では最も安定したのが1980年代だ。
経済的理由でカードサイズは一回り小さくなる。ただ、ファンから募集した似顔絵を裏面に掲載したり、タイトルホルダーのカードを金枠でデザインしたり、意欲的な取り組みも見られるようになる。
この頃から中身がポテトチップスになった。そして、競合する製菓メーカーとの“大人の事情”で、長らく作られなかったロッテの選手カードも1985年から登場するなど、商品としても成熟期を迎えた。
しかし、この平和な時代は1989年に終わりを告げる。
「30円から50円に値上げした影響もあるが、巨人が優勝したのに売り上げがガクンと落ちた。1980年代半ばから、子供の心はファミコンに奪われ、もはや野球は娯楽の王様ではなくなっていたのです」(池田氏)
そして、「プロ野球チップス」は時代の波に翻弄される90年代を迎えることになる。
※週刊ポスト2013年11月1日号