女性が主人公の連ドラが好調だ。今クールでは『ドクターX~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)、『ミス・パイロット』(フジテレビ系)、『都市伝説の女2』(テレビ朝日系)、そして、連続テレビ小説『ごちそうさん』(NHK)など話題作が多い。女性が主人公となったとき、視聴者の共感を呼ぶのはどのような作品なのだろうか? コラムニストのペリー荻野さんに聞いた。
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ひとつはその主人公が、誰もが憧れる技術や能力を持っているということが挙げられます。それは医者やパイロットという職業だったり、『ごちそうさん』のように、食べることに関しては誰にも負けない、といった特技、趣味に近いものであることもあります。
誰にも負けない強みは、誰だって欲しいもの。だけど、そんなものを持っている人って、なかなかいないですよね。資格や職業だったりすると、女性の場合はなおさらです。女性パイロットなんて、そう簡単になれるものではないですから。そういうヒロインの姿に、男性よりもとくに女性が憧れをもって見るのです。
その一方で、弱点も持っている、というところが大事です。
『ごちそうさん』のめ以子(杏)は勉強が得意ではないし、『ドクターX』の大門未知子(米倉涼子)もギャンブルでお金がスッカラカンになるなど、性格的には破綻しているところがある。そういうところは、共感したり笑ったりでき、そのヒロインの人間味を際立たせる部分です。主人公ではないですが、『リーガルハイ』(フジテレビ系)の黛真知子(新垣結衣)もそう。弁護士だけど“がに股”と言われたり、ちょっと残念なところがある。
つまり、憧れられる要素と弱点のバランスがとれているヒロインは好感をもたれるんです。女性が主人公でヒットしているドラマにはそんな要素があります。初回の視聴率が4.7%と低迷した川口春奈さん主演の『夫のカノジョ』(TBS系)は、20才の派遣社員・星見が主人公のホームコメディーですが、他のドラマのヒロインと比べて、誰にも負けない、ここはすごい!と思える要素が足りなかったという気がします。
もうひとつは女性に媚びない、というところ。大門未知子は美脚を露出したファッションをしていますが、“下着みたいな格好”などとさんざん言われても、“医師免許に関係ないことはしない”とピシャリと言う。『都市伝説の女2』の音無月子(長澤まさみ)も、これでもかとばかりに脚を強調する姿をしています。確信犯で、中途半端に男性に媚びるような格好ではないんです。突き抜けているから女性が見てもまったく嫌な気がしないし、むしろ“かっこいい”とさえ思えるのです。
そして、組織の中で闘っているヒロインであるということも、男性、女性から見ても共感されやすい要素です。『ドクターX』の場合は、病院の院長に向かっても“私、失敗しませんから”“致しません”と、はっきりと言いますよね。その姿に、見る人は強烈なカタルシスを感じるんですよね。社会人なら誰しも、実生活じゃできないけれど、そんなふうにやってやりたいと思う瞬間ってありますからね。それを男性ではなくあえて女性がやるからこそ、余計に爽快感が強くなるんだと思います。