10月14日、愛知県一宮市民会館で中日・落合博満ゼネラルマネージャー(GM)の講演会が行なわれた。この日はゲストとして、中日のヘッドコーチに就任する森繁和氏が登場。数か月前から決まっていた講演会は、場所もゲストも、運命を感じさせるかのようなものとなった。
この日の時点で、中日の来季のコーチ陣はまだ発表されていなかった。落合氏は森氏が壇上に姿を現すと、「(この場所で)初めて、おまえにヘッドコーチ要請するからな」と公開オファー。他のコーチ候補との接触については、「俺が電話番号知っているのは、モリシゲ(※森氏の愛称)だけ。(他のコーチ候補と)どうやって連絡取ります?」と否定した。
ただし、森氏だけには「ヘッドコーチやれという前に、『ドミニカ行け』と言った」と連絡を取ったことを認め、「ドミニカ行くためには、簡単に航空券取れないもので」と理由を説明した。
落合監督時代、森氏はドミニカ共和国へ外国人選手を探しに行き、トニ・ブランコ(現・DeNA)らを獲得してきた実績があるため、落合氏は森氏のドミニカラインを復活させようとしたのだ。講演会のなかで、落合氏と森氏はこう語り合った。
森:ドミニカに行けと言われれば行きますけども。
落合:それは、おまえしか行けねえもん。俺は嫌だもん(会場笑)。国の入り方も知らねえもん。でもおまえ、本当に良く無事で帰ってきたよな。(飛行機が)火吹いてなあ。
森:まあ飛行機は何とかなるんでしょうけども、(現地で)ピストルを突き付けられたこともあった。もうないかなと思っていた矢先に、もう1回行けということは、4度目のピストル事件があるかもわかりませんね。
落合:俺は何にも知らなくて、軽い気持ちで言っている。
森:保険だけは掛けといてくださいよ。
落合:自分で掛けてよ。
森:もちろん掛けてますよ(会場笑)
森氏は過去にドミニカで相当危険な目に遭っていたようだ。もちろん、仲が良いからこその掛け合い漫才のようなトークだったが、落合氏は森氏が登場する前に、ドミニカ行きについて、こう話している。
「大変なところに行くんです。あれだけ丈夫そうなヤツが、向こうに行くと、必ず腹壊しますからね。痩せて帰ってくる。『無事に帰ってきてくれよ』というのが、俺がモリシゲに言えるたった一つのことなんです。無事に帰ってきてくれないと、行かせた責任がありますからね」
いくら危険に遭っても、VTRで判断するのではなく、目で見て、獲得してくる理由を落合氏はこう語った。
「選手を見ないで、情報だけで『これは良い、これは悪い』となると、何にもしないヤツに、高いお金を払わなきゃいけないという結果になりますから。そしたら、皆さんだって思うでしょ。『コイツにこれだけの金出すんだったら、もっと他の選手に出せば良いのに』って」
落合GMと森ヘッドがコンビを組む来季の中日は、どんな活躍を見せるか。