1990年頃まで「大手23行」という総称があったことを覚えている読者も少なくないかもしれないが、合併や吸収、破綻を繰り返した末に「メガ(巨大)」とされるのは今や3行のみ。それぞれが証券部門やカード・信販会社、外国金融機関などでグループを形成している。
「どの銀行も違いがない」と感じる利用者は多いかもしれないが、3メガグループを比較しても、三菱UFJと三井住友が経常収益(一般企業の売上高に相当)で4兆円を超えるのに対して、みずほが3兆円未満と優劣が顕在化しつつある。
また、経営戦略においても三菱UFJが「アジア展開」、三井住友が「資産の積極運用」、みずほが「ATM網の拡大」とそれぞれの“色”が出始めた。だが、それが“未来志向の違い”かといえば、そうではない。
「三菱UFJは旧三菱、三井住友は旧住友が主導する形で経営方針も人事も決まる。いくら新時代の経営を唱えても、依然として旧行意識に縛られていることは否定できない。ただ、合併行内の序列がハッキリしている2社に比べ、旧富士、旧一勧、旧興銀のせめぎ合いがいまだに続いているみずほは方針を一貫させることさえ難しい。“先祖返り病”の重症度の違いでみずほが遅れを取る形になっている」(メガバンク幹部)
メガバンクが“歴史の足枷”を外せないのと対照的に、セブン&アイHDやイオン、楽天などが子会社として、それぞれセブン銀行、イオン銀行、楽天銀行などのネット銀行を誕生させ、手数料無料や通信販売との連動など「銀行体質」とは一線を画した営業スタイルで“大手銀行離れ”した一般利用者の取り込みを狙っている。
また、同系列でありながら三井住友FG入りをしない三井住友信託銀行のように、収益性の高い「富裕層ビジネス」に特化して好業績を続ける銀行もある。金融ジャーナリストの小泉深氏が指摘する。
「地域内の商店街や工場の特性に合わせた融資を展開する信用金庫や信用組合の中には、資金力の差をものともせず、競合する大銀行支店から優良融資先を奪い取るところもある」
※週刊ポスト2013年11月8・15日号