ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、街で見かける“おブス”にひと言もの申します!
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皆さま、ご機嫌よう!「芸術の秋」も、いよいよ深まってきました。何を隠そう、私の趣味は観劇。歌舞伎やバレエも好きだけど、私にとってのスペシャルは、何といっても宝塚。ゴージャスに着飾った美男美女が歌って踊って、しかも巨大な羽根まで背負っちゃう。これに興奮せずにいられますか。
ところが。その私の聖地・宝塚劇場で、先日、すっごい事件に遭遇してしまいました。
ときは開演5分前。私はすでに夢の世界に片足突っ込んで、胸の高まり押さえつつ、うっとり目をつぶっていた、そのときです。突然、隣にドカッと誰かが座ったと思ったら、ぷ~んと強烈なにおいが! 夢から叩き起こされて隣を見ると、ご年配の女性が何やらむしゃむしゃと、妖怪のように食べはじめたじゃないの!!
幕が上がってからも、舞台では王子様が愛をささやいているっていうのに、私ときたら“食べもの臭”まみれ。おかげでちっとも姫気分になれません。当然、周囲もその女性をガン見してたけど、当のご本人はそんな視線、ちっとも感じてない様子です。すごい神経だと思わない?
翌日、その話を女友達にしたら、「私なんて、渋谷のバス停に並びながら、特大のおにぎりにむしゃぶりつくオバさんを見たわよ。地下鉄のホームで堂々、ハンバーガー食べてるオバさんもいたわね」ですって。どうやら、私の想像以上に、街には「いつでもどこでも飲食おブス」が出没しているようですね。
思うに、この現象って、ケータイの影響も大きいのではないかしら? いつの間にか歩きながらでも電車の中でも、「どこでもケータイ」が当たり前の世の中でしょ? 公衆の面前で「私だけの世界」に埋没して、人様に迷惑かけてもお構いなし。若者の流行に乗っかってラクなほうに流れていくうち、世の女性たちは「恥じらい」とか、「慎み」って言葉も忘れてしまったのではないでしょうか。
※女性セブン2013年11月7日号