中国政府は江沢民・元国家主席や李鵬元首相、朱鎔基元首相ら長老指導者に対して、引退後の生活について最優遇措置をとっているが、その実体はベールに包まれ、謎のままだった。しかし、香港誌「調査」が明らかにしたところでは、80歳を超えた長老幹部に対して、公用車や運転手2人、秘書2人、コック2人などが派遣されるなど破格の待遇を受けていることが分かった。
習近平指導部は昨年から党幹部を中心に庶民にも「ぜいたく禁止令」を出して、倹約を励行するキャンペーンを展開しているが、ネット上では「長老指導者にも倹約を勧めれば、経費削減にもつながり、他の幹部の模範にもなり、一石二鳥だ」と最優遇措置を批判する声が高まっている。
中国の長老指導者が受ける最優遇措置は公用車などのほか、警備員が6人、個人事務所職員2人、医師1人、看護師1人などとなっている。
とくに、江沢民氏は優遇されており、個人事務所には中国共産党や政府、軍から局長級の幹部が8人も派遣され、日常業務をこなしている。また、江氏が今年4月、故郷の江蘇省揚州市を訪問した際、6台の高級車を連ねて里帰りしているほどだ。
もちろん、国内旅行でも海外旅行でも、飛行機はファーストクラスで、汽車はグリーン車を使用する。
これらの長老指導者はいま分かっているだけで9人。以下、年齢とともに列挙すると、江沢民(87)、李鵬(85)、万里・元全国人民代表大会(全人代)委員長(96)、喬石・元全人代委員長(89)、朱鎔基(85)、李瑞環・元中国人民政治協商会議(政協)主席(79)、宋平・元党組織部長(95)、尉健行・元党中央規律検査委書記(81)、李嵐清・元常務副首相(80)―と、96歳の万里氏が最長老で、95歳の宋平氏が続き、他の7人はすべて80代。
これら長老指導者として引退後の最高級待遇を受ける基準は党の最高指導部である党政治局常務委員を経験したかどうかで、これら9氏はいずれも常務委員経験者。
このほか、政治局員や全人代副委員長、副首相、中央軍事委員の経験者も厚遇されており、公用車に運転手1人、警備員2人、事務所職員2人、コック1人、医師1人が派遣されている。
ネットでは「中国は共産主義国家で、労働者が主役であるはずなのに、優遇されるのは幹部ばかり。現役の幹部は腐敗で肥え太り、引退しても、さまざまな優遇措置がつく。中国はまさに幹部の天国。こんな国をつくるために、多くの人々が血を流したのか」と憤る書き込みが寄せられている。