現役時代はロッテに始まり、中日、巨人、日本ハムと4球団を渡り歩いた落合博満・中日ゼネラルマネージャー(GM)。現役・監督時代含めて15年間在籍した中日のイメージが強くなったが、マスコミがいまだに中日の「外様」扱いしていることに不満を持っているという。
その一方で、落合氏が巨人のOBであることもまた事実。10月14日に愛知県一宮市民会館で行われた講演会で、落合氏はこのように語っている。
「巨人でも俺は幽霊やお化け。OB会の通知来ないもん(会場笑)。藤田(元司、巨人軍OB会会長経験者)さんにね、『おまえなんでOB会に出て来ないんだ』と言われたの。『いや、俺のところにOB会の通知が来ないんですよ。よっぽど出したくない人が、ハガキ書いているんじゃないですか』と言ったの。たった1日でも1年でもいた人間にはOB会の通知行くんだけども……。次の年から、ちゃんとハガキ来ましたけどね(会場笑)」
落合氏は1994年から3年間、巨人に在籍し、2度の優勝に貢献している。落合氏のフリーエージェント(FA)移籍なくして、長嶋茂雄監督(当時)の胴上げは実現しなかったといっても過言ではない。
1994年に落合氏が中日から巨人へFA移籍する際、長嶋茂雄監督と渡邊恒雄球団社長(当時)は、球団OBらの猛反対声を押し切り、獲得に踏み切った。渡邊氏は、巨人時代の落合氏に直筆の手紙を送ったこともあるという。
渡邊氏は、1996年に落合氏が巨人を退団する際に、わざわざ会談を持ち、その場で「将来、本当に引退した時には読売グループで受け入れる」と話したという。
たしかに、そこには社交辞令のような意味合いもあったと思われ、1998年の引退後、落合氏が読売系列で特に仕事をしたことはない。しかし、昨年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の監督候補について聞かれた渡邊氏は、「落合君しかいない」と推薦するなど、常日頃から落合氏の能力を高く評価していることがうかがえる。
実力者から評価されているのは、なにも巨人に限ったことではない。今回の中日GM就任も、落合氏に全幅の信頼を置く白井文吾オーナーの存在が背景にあるのは間違いない。
中日ではOBにもかかわらず“外様”呼ばわりされ、巨人からはOB会の通知が来ない時期まであった落合氏。アクの強さからか嫌われることもあるようだが、球団の最高権力者であるオーナーたちは、落合氏の実力を認めているようだ。