中日ドラゴンズ前監督の高木守道氏はネットで「試合中に寝ている」など噂された。果たして真相はどこにあるのか。球界の大物・金田正一氏が高木氏に本音を聞いた。
──そういえば試合中に居眠りしていたらしいじゃないか。
高木:寝てませんから! 確かにベンチでじっと目を瞑っていたことはある。谷繁(元信)から「監督、寝ないで下さい」といわれたけど、「瞑想していたんだ」といってやりましたよ。
──昨年のCSもあと一歩だった(※注1)のにな。
高木:あの時は、最後の1枚が足りなかった。投手のことは権藤さんに任せていたんですが、4試合目は総力戦で臨むべきでした。前回監督時の10.8(※注2)と同じです。長嶋監督(当時)はローテーション投手全員を出したが、私にはそれができなくて負けた。まァ10.8にせよ、昨年のCSにせよ、私には勝負運がないんでしょうね……。
10.8で巨人に勝って優勝していたら、その後の人生も変わったかもしれない、なんて思うんです。実はあの年は、夏前に球団社長から監督交代を告げられていた。ところが、独走していた巨人が落ちてきて最後に決着をつける形になり、名古屋のファンから“続投”の声が起こった。選手たちも「もう1年やりましょう」といってくれたこともあり、ついほだされて続けることになった。でも、翌年は5位に転落しました。
──なんだか今回と展開が似ているな。
高木:そうですね。今回の私の契約は最初から2年間限定でしたが、OBから選んだコーチ陣もみんな一緒に解雇されてしまった。私はともかく、他の連中はまだ若いから、悪いことをしたなァと思う。それが申し訳ないですね。
【※注1】1994年10月8日の中日-巨人戦。同率首位で並んだ両チームが、最終戦で直接対戦し、結果は巨人が勝利した。
【※注2】2012年のCSファイナルステージで、2位・中日は1位・巨人に3連勝した後、まさかの3連敗。日本シリーズ進出を逃した。
※週刊ポスト2013年11月8・15日号