『あまちゃん』からバトンタッチされたNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』。こちらも『あまちゃん』並み、いやそれを超える高視聴率が続いている。
「このドラマでは、食べ物にも“ひとりの登場人物”のような存在感を求めて制作しています。オムレツひとつ、単に“おいしそう”ではなく、作っている人の温かみや手作り感も表現しています」(番組のチーフプロデューサー・岡本幸江さん)
そんな番組を支えるのがフードスタイリストの飯島奈美さん。映画『かもめ食堂』や『南極料理人』でも料理の監修をするなど、映像の世界でひっぱりだこだ。
フードスタイリストの仕事は、調理法や器選びから盛りつけまで細かく気を配り、テレビ画面に映る料理をより美しく見せること。
脚本家の森下佳子さんが“食いしんぼう”のため、台本には細かな献立が並び、それに合わせて飯島さんとスタッフが打ち合わせする。飯島さんは台本を読み込んで、できあがった料理を通じて作った人の腕前や性格まで表現する。料理初心者から少しずつ上達していくめ以子の役柄に合わせて、最初のころはあえて盛りつけで料理を崩すこともあったという。
今後、ドラマの舞台が大阪に移ると、食をめぐる環境がガラリと変わる。
“大阪料理指導”として、『ごちそうさん』フードチームに加わっているのはごちそうプロデューサーの広里貴子さんだ。
「東京と大阪では、おにぎりの形も違うことが多いんですよ。武士が持ち歩くために、強くにぎれる三角形のおにぎりが浸透した東京。一方、商人の町で観劇なども盛んだった大阪では、幕間に食べる幕の内弁当に入るふっくらとした“俵形”のおむすびが主流になったといわれています」(広里さん)
西門家に嫁いだめ以子が作ったみそ汁は、“辛すぎる”と不評でほとんど手をつけられない。よくいう“東京と大阪の食文化の違い”に、め以子も驚かされる。
東VS西の味の違いも、このドラマを楽しむためのポイントだ。
※女性セブン2013年11月14日号