EC企業・アマゾンが創業時に「世界最大の小売業」という目標を掲げたとき、絵空事だと笑う人もいた。ところが、いまやその目標は現実のものになりつつあると、現在のアマゾンが実践するビジネスについて大前研一氏が解説する。
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アマゾンは、たとえば個人の食卓や冷蔵庫で醤油が切れたり、トマトケチャップが残り少なくなったりした場合は、スマートフォンでバーコードを読み取って送信すれば、即日もしくは翌日に配達する。あるいは、友人が持っている商品が気に入って同じものが欲しいとなったら、その写真を送信するだけで商品を特定し、見つけてきて届ける。そうした仕掛けで、忙しくてショッピングに行けない人たちをも囲い込もうというのである。
アマゾンの進化は、まだまだ続く。ザンビアにはこんな面白い物があります、ロシアにはこんな変わった商品があります……と、世界中の様々な商品を現地価格プラス多少のマージンで通関などの輸入手続きも代行し、世界のどこでも48時間以内、先進国なら24時間以内に届けます、というような仕組み作りにも着手している。
要は「地球規模の物流網」に「地球規模の品揃え」を組み合わせることで、顧客のニーズをすべて満たすような小売業の“世界帝国”を築き、CEOのジェフ・ベゾスが創業時に宣言した「世界最大の小売業になる」という目標を達成しようとしているのだ。
※週刊ポスト2013年11月8・15日号