どこまで「実利」を追い求めるか、やはり彼我の差は決して小さくないようである。中国に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。
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北京や上海といった中国の都会ではいま、離婚率が急激に上がっているという。
北京ではとくに激しく、今年に入ってから同市内ではすでに4万組が離婚をしているのだという。これは去年の同じ時期と比べて、プラス41%増という驚異的な伸びを意味しているのだ。
いったいなぜなのか。
「それは不動産税の網をかいくぐる目的ですよ」
と語るのは北京の夕刊紙記者だ。
「これは一部の大都市を対象に試験的に導入された不動産を対象にしたキャピタルゲイン税の影響です。いま北京などでは、二つ目の不動産を売却した場合、それによって得られた利益に対して20%の税金がかかることになっています。
これに不満を持つ人々が、二つ目のマンションという条件を骨抜きにするため一時的に離婚してそれぞれが一つずつマンションを持つようにするのです。そうすれば税金は払わなくても良いですから」
売却を得た後で、また再婚すればよいというのだ。これでは売却度に離婚と再婚を繰り返すことになるのだろう。
上に政策あれば、下に対策あり――。中国人の本領発揮ということか。