中日ドラゴンズ成績低迷の責任を取り辞任した高木守道・前監督に代わり、監督に就任したのは選手兼任の谷繁元信捕手で、急浮上していた落合博満氏の名前はGM(ゼネラルマネージャー)の位置にあった。落合氏の野球理論をよく理解しているとも言われる高木氏に、球界の大先輩、金田正一氏が本音をきいた。
──落合GMか。アイツは中日OBが嫌いなんだろ?
高木:いやいや、そんなことはありません。でも彼は勝ちに徹することができる。弱体化したチームを立て直すという名目で、“派閥”を超えて自分の眼鏡にかなったコーチを集めることができる。以前いっていましたよ、「オレは中日OBを嫌っているわけではありません。でもOBに(コーチの)適任者がいますか?」とね。そういわれると言葉がないわけですよ。
落合とは評論家時代、仲は良かったし、ベンチに行ってもよく話をしてくれたんです。でも2年前、次期監督に私の名前が出てからは、ちょっと行きづらくなってしまいましたけどね。
──率直に、落合GMというのをどう考えているんだ。
高木:経済観念はしっかりしていると思いますね。
──ケチか。ドケチなの?
高木:ドケチかどうかは知りませんが、「プロ」としてお金にシビアなのは確か。それに勝つための組織作りにこだわる。その意味では、谷繁兼任監督というのは頷けます。明らかに力の衰えている谷繁の出場試合を減らすことで、次の世代の捕手を育てることができますからね。
──高木がGMをやるという選択肢はなかったのか。
高木:私はダメですよ、いい加減だから。ファジーだからね。現状に球団が危機感を持って、強くする方法を考えた結果、彼を復帰させたのは間違いではないと思います。落合が戻ってきたことで、選手もピリッとするんじゃないですか。ベテランの間にも、危機感が生まれると思います。私にはそれができなかったから。
※週刊ポスト2013年11月8・15日号