今や日本が誇る国民的ファストフード「牛丼」。知っているようで知らない牛丼の秘密から、分量や盛りつけについて迫る。
牛丼の分量は、3社ともマニュアルで規定されており、吉野家では肉と玉ねぎを合わせた具が90g、ご飯250gと定められている。取材によれば他2社も具85g、ご飯250gという規定量があるようだが、広報は「ノーコメント」だった。
「各社とも盛りつけは基本的に店員の経験による。10g程度の誤差は許容範囲とされているようです」
そう話すのは、大衆食文化に詳しいライターの松浦達也氏(各社とも誤差の許容範囲はノーコメント)。
「吉野家は老舗だけあり、店員のトレーニングもしっかりしている。盛りつけのテクニックは若いアルバイトにも継承されてきましたが、最近は若干のブレを感じます。吉野家は『ご飯盛りつけ機』の導入で作業の効率化を進めています」
本誌が都内にある大手3社の店舗を複数ピックアップして「並」を注文して計測すると、盛りつけには結構ばらつきがあった。
たとえばチェーンXの場合、3つの店舗で牛肉、玉ねぎ、ご飯の重さを測ったところ、Aの店舗では牛肉71g、玉ねぎ14g、ご飯が292gの合計377gだったがBではそれぞれ54g、21g、280gの合計355g、Cでは52g、24g、301gの合計377gだった。
チェーンYでも3つの店舗で同じように測ったところ、Dの店舗では牛肉77g、玉ねぎ34g、ご飯271gの合計382g。Eの店舗ではそれぞれ60g、5g、296gで合計361g。Fの店舗では70g、3g、301gで合計374だった。
上記の2つのチェーンでは、平均値はそれぞれ370gと372g、合計のばらつきも最大で22gと21gだったが、チェーンZではもっと大きな差がみられた。
チェーンZの店舗Gでは牛肉が83g、玉ねぎは1g未満だったため測定が不可能、ご飯は300gで合計383g。店舗Hではそれぞれ56g、19g、341gで合計416g。店舗Iでは64g、2g、286gで合計352g。牛肉の差でも店舗によっては27gも差が出ていた。
なかなか均一にするのは難しいようだが、店舗により具の量に大差がついたことは気になる。
※SAPIO2013年11月号