日本シリーズ第6戦、今シーズン24勝0敗だった田中将大投手でまさかの敗戦を喫してしまった楽天。その窮地を救ったのは、身長169cmの“小さな大投手”だった。日本一を決めた第7戦に先発、6回無失点の好投で勝ち投手となった美馬学投手(27才)は、お立ち台でこう喜びを爆発させた。
「日本一になったぞー!」
美馬投手は第3戦でも勝ち投手となっており、“シリーズ2勝”を挙げ、見事、日本シリーズMVPに選ばれた。
そんな大活躍の美馬だが、レギュラーシーズンでは苦難の連続だった。学生時代に3度の手術を受けている右ひじはシーズン中に何度も悲鳴を上げた。シーズン序盤の5月にKOされると戦線離脱。7月に復帰するものの10月に再び右ひじに違和感を覚えて2軍での調整を余儀なくされた。結局、今シーズンはわずか6勝と思ったような活躍をすることはできず、日本シリーズに出場できるかも微妙な状況だった。
しかし、そんな美馬を奮い立たせる出来事が起こる。9月に茨城で暮らす母・明美さん(58才)の内臓にがんが発見されたのだ。10月上旬には、大手術を受けた。病院へ見舞いに行った美馬は、母の弱った姿に言葉を失ったという。
「がん治療の影響から、お母さんの体重は、わずか数か月で激減していたそうです。しかし、お母さんは自分の体より2軍落ちしていた美馬投手に“お母さんも頑張るから、学も頑張って”と励ましの言葉をかけてくれたそうです。あくまでも子を思うお母さんの言葉に、美馬投手は“絶対に日本シリーズのマウンドに立って、母を元気づけたい”と誓ったんです」(スポーツ紙記者)
日本一が決まった11月3日、明美さんは退院。茨城の自宅で息子の活躍を見守った。そんな母のために見せた見事な快投。何よりの励ましとなったはずだ。
※女性セブン2013年11月21日号