気温が急に下がり、夏の疲れも抜けきっていない今の時期、風邪をひく人が急増している。風邪ウイルスが活発になるとともに、年末に向けて忙しさもピークに。ダウンなどしていられないから、「ひいたかな?」と思ったら、早めの対策が肝心だ。
では、具体的に風邪とは一体なんなのか。東京慈恵会医科大学准教授 医学博士の浦島充佳さんはこう語る。
「風邪は、病原体が鼻や口から侵入して感染し、症状を起こす感染症の総称です。病原体、特にその8割を占めるウイルスは、冬に多いもの(ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルス)以外にも数百種類はあります。そのため体に抗体ができず、1シーズン中に何度もかかったり、症状や経過がその時々で違うのです。
風邪をひく場合、ほとんどが感染者のくしゃみなどからうつる飛沫感染。急に寒くなる今の時期は、ウイルスが活性化しやすく、体力も落ちているため、学校や職場、交通機関などを中心に感染が広がります」
健康体なら病原体が侵入しても自力で排除できるが、体力が落ちていると感染。くしゃみやのどの痛み、発熱などの症状が表れる。
「多くの場合は感染から2~3日で治りますが、免疫力が落ちていると長引いたり、気管支炎や肺炎に至ることも。いずれにしても症状が出たときにはすでに感染し、ウイルスは増殖を始めています」(浦島さん)
風邪をひきやすいのは、睡眠不足や疲労、ストレス、栄養が偏った状態など。さらに、
「風邪をひくと胃腸の働きが悪くなり、普段と同じように食べても充分に消化吸収できないことがあります。また熱が出ると、エネルギーや水分を多く消耗します。風邪対策に必要な栄養素を意識して摂りながら、やわらかく煮るなど、消化をしやすくする工夫も必要です」(管理栄養士の篠原絵里佳さん)
「現在、処方薬や市販薬で風邪のウイルス自体を死滅させるものはなく、症状を抑えるのが主な働きです。それを理解して上手に使いながら、積極的に睡眠と栄養を。また繊毛の働きをよくし、粘膜を保護するために、水分もたっぷり摂りましょう」(浦島さん)
そして、早めに治すための4つのポイントは「睡眠」「栄養」「水分」「保温」だ。睡眠は体の疲れを回復し、免疫力を維持するのに不可欠。夜の睡眠はもちろん、日中の隙間時間を利用した短時間の“昼寝”も有効。
栄養については、ご飯などの糖質、脂肪を除いた肉・魚、卵、大豆製品などのたんぱく質、緑黄色野菜や果物に多いビタミンA・C・Eをバランスよく摂取した方がいい。水分に関しては、水、茶などのほか、スープなどの食事からもこまめに。また水分を摂ることで、侵入したウイルスを流して感染防止になることも。
最後の「保湿」だが、冷えも免疫力低下の一因。就寝や外出時はしっかり防寒を。また、ねぎやしょうがなどを摂ると、体が温まり免疫細胞の働きが活発に。
※女性セブン2013年11月21日号