DeNA中畑清監督が荒療治に出た。11月5日から鹿児島県・奄美大島で行なわれている秋季キャンプに、「未完の大砲」筒香嘉智(22)を参加メンバーから外した。2009年のドラフト1位指名の筒香には、中畑監督も就任当初から期待を寄せ、昨年は108試合に出場させ、今年も開幕スタメンに名を連ねた。
「185cm、97kgの巨漢で練習ではポンポンと柵越えを連発する。筒香を見たら、誰でも使いたくなる。昨年は1年を通して最下位だったし、いわばポジションを与えられる形で出場していた。今年も、7月は二冠王に輝いたブランコの後ろの5番を任されたこともあるほど。中畑監督は、筒香の爆発を心待ちにしている」(スポーツライター)
だが、今季は23試合出場で2割1分6厘、1本塁打と成長の跡が見られなかった。中畑監督は10月に二軍主体で行なわれるフェニックスリーグでのプレーを見て、「10年に1人の逸材と周りにいわれて、本人もそういう意識があるんじゃないか。打率2割1分でクリーンアップみたいな顔をしてふざけるな」と激怒していたが、若手の鍛錬の場である秋季キャンプだけに、潜在能力の高い筒香は連れて行くものと思われていた。
これまでもて囃されてきた筒香にとって、試練といえるだろう。それに加え、来季に向けて不安な面もある。新首脳陣の打撃コーチは一軍が進藤達哉(43)、小池正晃(33)、二軍が大村巌(44)、嶋村一輝(32)とすべて右打者出身。左打者の筒香にとって、左打者経験者のいないコーチ陣は不安がある。
「中日の落合博満ゼネラルマネージャーが、『左打者に右打者は教えられないし、その逆も同じ。打ち方が全然違うから』とよくいっていますが、筒香にとっては、これまで信頼してきた左打ちの高木由一打撃コーチがチームを去ったことも大きいでしょう」(同前)
横浜での居残り練習となる筒香。「未完の大砲」といわれたまま、現役を終えた選手は数知れない。来季、41歳を迎える中村紀洋から三塁のポジションを奪うべく、発奮するしかない。