創設9年目にして、楽天イーグルスを優勝に導いた星野仙一監督(66才)。星野監督といえば、中日、阪神時代は鉄拳制裁も辞さない闘将として有名だった。
「ベンチの中で物を壊すなんて日常茶飯事で、叩かれすぎて頭が腫れてしまい、ヘルメットが入らなくなったという選手がいたほどです」(スポーツジャーナリスト・黒井克行氏)
しかし2011年、楽天の監督に就任した星野監督の様子は一変。いつも闘志をみなぎらせ、険しい表情をしていた彼が、すっかり穏やかな顔になっていたのだ。
「そりゃ年齢が年齢だから、多少マイルドになるだろう。時代が変われば、選手の気質も違ってくる」
あるインタビューでこう話していた星野監督。孫のような年代の選手と接する機会も増えたことで、今まで以上にコミュニケーションを大事にするようになったという。
「星野監督は若い選手たちを萎縮させないようにと、下の名前で呼んだり、あだ名で呼んだりして選手との距離を縮めました。また結婚したばかりの選手には“お前、母ちゃん泣かすんじゃないぞ!”なんて冗談交じりで話したりもしていますよ。
キャンプ中、マー君が眠そうに朝の体操に参加したことがあったんですが、星野監督は“ピリッと起きてこいよ~”なんて軽口を叩いてね。今までなら激怒する場面ですから、驚きましたよね」(スポーツ紙記者)
星野監督は、その人心掌握術についてこんなことを語っている。
「軽口もコミュニケーションなんです。選手は常に見られているぞという意識を持たせないとだめなんです」
最後の第7戦の前にも「どうせなら嬉し涙を流させてくれよ」と選手に話しかけたという。
日本一の栄光は“力”ではなく“言葉”でつかみとった勝利だったのかもしれない。
※女性セブン2013年11月21日号