大津波を太平洋側に発生させる危険も指摘されている南海トラフ地震。南海トラフとは、駿河湾から南九州の東方沖までつながる海底の溝(トラフ)のこと。陸側のユーラシアプレートの下に海側のフィリピン海プレートが沈み込んでおり、東西の総延長は770kmに達する。
政府の地震調査委員会によれば、南海トラフを震源としたM8~M9クラスの巨大地震が発生する可能性は「30年以内に60~70%」。中央防災会議が公表している南海トラフ地震の被害想定によると、最悪の場合、東海、近畿、四国、九州で犠牲者数は合計32万人を超える。東日本大震災の死者・行方不明者数が約2万人であることを考えると、あまりに甚大な被害想定に言葉をなくす人も多いだろう。
ところが、10月30日に大阪府防災会議が発表した独自調査の被害想定は、さらに衝撃的だった。「冬の平日午後6時にM9.1の南海トラフ地震が起きる」と仮定した場合、大阪府だけで約18万棟の建物が全壊し、約13万4000人が犠牲になると予想したのだ。
前出の政府の調査では、大阪府の死者数は9800人。13倍もの数字の違いがあるのだ。大阪府の担当者は、その理由をこう話す。
「国は概算を出しただけ。都道府県独自の調査は、地形や堤防の状況など、より詳細に分析ができるため、数に開きが出たのではないか」
さらに岡山県や香川県もそれぞれ、3000人、6200人と、国の想定の2倍の死者が出ると試算した。こうして緻密に見ていけば、32万人という国の想定をはるかに上回る犠牲者が出るのは必至だ。史上最悪の大地震は、いつ起きてもおかしくない。
※女性セブン2013年11月21日号