夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(54歳)が商社勤務の奥様(54歳)。ご主人の休日ファッションに眉をひそめているようです。
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今年、セーターなどを肩にかける「プロデューサー巻き」が流行っています。「(石田)純一巻き」ともいわれていますが、今年の夏前から主人がマネし始めたんです。暑いのに首にセーターを巻き、素足にスニーカー。私は一緒に外出しても、なるべく離れて歩くんですが、電車の中ではわざと足を組んで素足を見せ、「恋と靴下は儚い(履かない)ものなんだぜ」と、一人、悦に入ってる主人……。
ところが、今年の夏は猛暑が続き、セーターを巻いた主人の首は汗だらけ。ついには買い出しに行く私に「痒くて仕方ないんだ。アセモの薬、買ってきてくれ」。私が口を酸っぱくして「その前に、セーターを首から外して。靴下を履いて」といっても、主人は「何だ? 夫の頼みも聞けないのか? 主婦失格だな」ですって。
先日は、強引に映画に連れて行かれたんですが、映画館の中は結構、冷房が効いていて、私が「ちょっと寒いわ」というと、鬼の首でも取ったように「だからホラッ、首巻きセーターが役立つんだよ」。
ところが冷房って下の方が冷えるから、ジワジワと夫の素足に効いてきたらしく「さ、寒い!」。スクリーンも観ず、必死で足をマッサージするものの、我慢できずにくしゃみを連発。もう、映画どころじゃありません。「ほら、早くセーター着てよ。ねえアナタ、覚えておいたほうがいいわよ。妻とセーターはクビにしないものなのよ!」
※週刊ポスト2013年11月22日号