現在放送中のNHK朝ドラの『ごちそうさん』は、第15回(10月16日放送)で早くも27.3%を記録。軽く『あまちゃん』超えを果たしてしまった。
「私は断然『あまちゃん派』」というコラムニストの今井舞氏はこういう。
「『ごちそうさん』はオーソドックスで、許容範囲のドラマ。ですが、私のように『あまちゃん』の意外性に引き寄せられた者にとっては、朝ドラが新聞の4コママンガと同じ、毎朝一度、必ずほんわかさせるだけのものに戻ってしまったという寂しさがある」
これは多くの『あまちゃん』派に共通する意見だろう。『ごちそうさん』を「つまらない」と評価する人々は、その安定感ゆえに物足りなさを感じてしまうのだ。
確かに、『ごちそうさん』のストーリーはベタだ。しかしこのドラマの凄いところは、そのベタさを徹底しているところである。
主人公・め以子と主人公宅に居候することになった帝大生・悠太郎の恋愛成就のプロセスを一部抜粋しただけでもよくわかる。
●め以子が喫茶店で見知らぬ帝大生・悠太郎の服に生クリームを飛ばし口論になるという最悪の出会い
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●その悠太郎が、偶然め以子の自宅の洋食屋で下宿することに
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●言い争いを繰り返しつつも、次第に惹かれあう2人。しかしなぜかどちらも自分たちの恋心に気づかない
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●そんな中、め以子に縁談が持ち上がる
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●お見合い当日、“やっぱり悠太郎さんが好き!”と会場から逃げ出すめ以子
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●大学のボート競技に出場していた悠太郎の姿を追い、め以子は川に転落
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●悠太郎はボートを飛び降り、め以子を救出する
まさに、「どこかで見たよ!」という展開。しかし、メイン視聴者層の女性たちにはこれが心地よいらしい。30代の主婦がいう。
「子供の頃に見てきた少女マンガをかき集めたような展開に、なぜかハマっちゃうんです。大正時代でじゃじゃ馬なヒロインなんて『はいからさんが通る』とソックリですしね。『あまちゃん』のときは、夫をはじめ周りの男性が皆“面白い!”と盛り上がっていましたが、私は、アキ(能年玲奈)が不思議キャラすぎて全く感情移入できませんでした。『あまちゃん』は男性目線、『ごちそうさん』は女性目線のドラマですね」
※週刊ポスト2013年11月22日号