4人1人の高齢者が認知症だといわれるなか、家族が認知症になってしまったとき、どの病院にいけばいいか、どの医師に診てもらえばいいか、ということが大きな問題になる。たとえば、日本認知症学会のホームページで、専門医を探して行く場合はどうすればいいのか。メディカルケアコートクリニック院長の小阪憲司医師は、こうアドバイスする。
「適当な医師がいなければ、せっかく病院に行っても診てもらえないこともある。まずはその医療機関の代表に電話をしてどこを受診したら認知症を診てもらえるか、聞いてみたらいい」
同時に、神津内科クリニック院長・神津仁医師は、「まず普段本人がかかっているかかりつけ医に相談をしてみましょう。その医師が認知症を専門で診られる医師を知っていたら、紹介してもらえるはずです」と、医師同士の人脈に頼るのもひとつの手だと言う。
認知症をきちんと診察できる医師がそもそも少ないという声もある。認知症患者は軽度の人も含めると約862万人(厚生労働省調べ)、今後も患者数は増えるといわれる。しかし、日本認知症学会が認定した専門医は国内に749人と少ない上、大きな病院のある都市部に偏っている。認知症医療のニーズは全国的で、今後の増加も間違いない。こうした中、普段の診療の延長で漫然と診ていたり、間違った治療を行っている医師も一部にいるという。
さらに、認知症の研究や治療法の開発は発展途上で、診療や考え方は「専門医の中でも見解が分かれている」(小阪医師)のが現状。実際、小阪医師のところにも、認知症と診断されたが、治療法や薬の処方が合わず、悩んで家族や患者が相談に来ることもあるという。
最初に診察や検査を受けるのは認知症専門の医師のいる医療機関がいい。ただ、認知症の主治医とは本人の最期までつきあうことになるため、その後の診療については長い目で見て、言いたいことを言ってつきあえる医者という視点で探すのもいいだろう。
薬の処方についても、今年7月、厚労省が周辺症状に対する薬物治療のガイドラインをまとめている。症状の表れる背景や副作用を充分に考慮しないまま安易に薬物が投与されているケースもあるので、医師とのコミュニケーションは重要なのだ。
こうした、かかりつけ医探しのポイントを、神津医師はこう語る。
「患者さんや家族にとって話しやすい医者。そして話を傾聴する姿勢のある医者がいい」
患者・家族の側から思い切って尋ねていくことが、よりよい医者・患者家族関係の一歩かもしれない。
※女性セブン2013年11月21日号