今年6月に新体制となり、新たなスタートを切ったフジテレビだったが、凋落に歯止めがかかる様子はない。
看板番組の終了、人気番組『ほこ×たて』での「やらせ発覚」と、まさに「泣きっ面に蜂(8)」状態。近年の視聴率の低迷も悲惨の一言である。
「過去の栄光にしがみついている」と斬り捨てるのは、あるキー局プロデューサーである。
「この前、フジの某幹部と飲んでいた時、『半沢直樹』の話題になった。すると彼は、“ウチじゃあ、あんなコテコテのドラマは無理だよ”といっていた。フジの社員は『半沢』のような勧善懲悪や、過剰な演技といった“ベタ”を嫌う傾向がある。
時代を切り開いてきたという自信は結構だが、視聴率ナンバー1時代に固執し続けた結果が、今を招いていることをわかっていない」
このプロデューサーは、「フジの制作陣は、自分たちの感覚が今でもトレンドの最先端で、番組の視聴率が悪くても“視聴者にセンスがない”とぐらいに思っている」と語る。
確かにこれまで、1980年代の『オレたちひょうきん族』や、1990年代の『カノッサの屈辱』に代表されるような、「若者向け」の「最先端」な番組を世に出し、高視聴率をマークしてきた。しかしそれを引き摺りすぎてしまってはいないだろうか。
あるフジ局員は、「ターゲットを読み誤ったまま迷走している」と自嘲気味に語る。
「流行に敏感な若者に向けて番組を作りたいという考えはクリエイターとして決して悪くない。しかし、その“流行に敏感な若者”は、いまやスマホやパソコンでSNSやYouTubeを観て、もはやテレビを観ていません。
家族で見るバラエティを充実させて好調の日テレや、中高年向けの番組を充実させているテレ朝に対し、フジはうまく視聴者のニーズを掴めずに取り残されてしまった」(前出・フジ局員)
※週刊ポスト2013年11月22日号