SAPIO12月号では『韓国が背負う「嘘の代償」』と題する大特集を組んでいる。韓国の朴槿惠大統領は就任以来、ことあるごとに「慰安婦問題」を世界に広めようとしてきた。この主張が真っ赤な嘘であることは、先にSAPIO編集部が刊行した『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』に詳しい。真実を覆い隠す外交が破綻するのは時間の問題だ。アメリカでの韓国外交も現地では反発を生んでいる。在米ジャーナリストの高濱賛氏が現状を報告する。
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今年5月、朴槿惠大統領は就任後初めて訪米すると、オバマ大統領に対してわざわざ「日本は正しい歴史認識を持つべきだ」と訴えかけ、米議会での演説でも北東アジア地域について「歴史問題で衝突が絶えない」と言及した。さらに9月末に訪韓したヘーゲル米国防長官には、「慰安婦の女性は今も深い傷を負っているのに、日本は謝罪どころか侮辱を続けている」とアピールした。
朴大統領をはじめ韓国側の「Tale-bearer Diplomacy(告げ口外交)」は通常なら考えられないやり方だ。国際的儀礼を欠いているし、何よりもその主張は事実に基づかない嘘である。すでにこうした外交の綻びは見え始めている。
ヘーゲル米国防長官は訪韓直後の10月3日、ケリー国務長官とともに東京で開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)に臨んだ。席上、米側は【1】日本の軍事的役割の拡大を積極的に支援、【2】安倍政権の集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈修正を支持することを公式に表明した。
韓国側には、「訪韓時にアピールしたばかりなのに、アメリカは日本に事実上の(歴史認識に対する)免罪符を与えた」(青瓦台関係者)と映った。それでもアメリカ側は気にかけるそぶりを見せていない。オバマ政権内部の変化について米シンクタンクの研究員の一人がコメントする。
「オバマ政権は歴史認識で安倍政権には問題があると考えている。ただし、朴大統領が歴史認識に執着しすぎていることも問題だと認識し始めた。反日を掲げなければ国内世論がまとまらないという彼らの事情は百も承知だ。
朴大統領を取り巻く国家安全保障や外交、経済問題を担当する政策立案者たちはいったいいつまでこんなことを大統領にやらせているのか。日韓が反発し合うことがアメリカの国益にならないことがわからないのだろうか」
批判は、ワシントン在住の韓国系研究者からも出始めた。その一人が、ハーバード大学ケネディ行政大学院が発行する「コリア・ポリシー・レビュー」編集主幹を務めた経験を持つジェイソン・イム氏だ。
同氏は、筆者とのやり取りで、「慰安婦問題で日本の天皇に謝罪せよと要求しても土台無理なことははっきりしている。今、韓国がやるべきことは元慰安婦たちに日本の謝罪を受け入れさせることだ。日本人を許すことで、軍国主義下で犠牲になった多くの日本人と過去の苦しみを分かち合う。そしてこうしたことが二度と起こらないよう日韓両国民が誓い合うことだ」と提案している。
朴大統領の「アメリカを怒らせて日本をこらしめてもらう」という狙いは、あまりに姑息かつ執拗に繰り返されたことで反発を生んだ。
※SAPIO2013年12月号