1996年9月に開始した『はなまるマーケット』(TBS系)が、来年の3月限りで終了する。元シブがき隊の薬丸裕英と女優の岡江久美子の司会で人気を誇った朝の生活情報番組も、近年は視聴率が低下。17年半の歴史に幕を閉じることになった。その背景に、裏番組である『あさイチ』(NHK)に視聴者層を奪われたとの見方がある。
『あさイチ』は、『はなまる』と同じく主婦向けの生活情報番組。『あまちゃん』や『ごちそうさん』といった連続テレビ小説の後番組ということもあり、視聴率が2ケタに乗ることも珍しくない。
『あさイチ』といえば、司会の有働由美子アナウンサーの脇汗や腐女子ネタが話題となったが、もう1人の司会者であるV6井ノ原快彦の存在も、業界内では高く評価されている。バラエティ番組で井ノ原と共演したことのある文化人A氏はこう話す。
「話の引き出し方が、格段にうまいんですね。瞬時にゲストの特長を見抜き、それに合わせて質問してくれる。こちらは普通のことを答えているつもりなのに、それがボケとなり、笑いに転化される。何回かご一緒させていただいて気づいたのですが、自分の実力で笑いが起こっているのではなくて、井ノ原さんの振り方のおかげなんですよ。ものすごい洞察力ですね。
バラエティだと、笑いを取れる人間が評価されがちで、井ノ原さんのようなパスの名手は視聴者にはなかなか伝わりづらいかもしれませんが、もっと評価されるべきだと思います」
ゲストを生かすも殺すも、番組の主導権を握っている司会者次第なのだという。A氏が続ける。
「井ノ原さんはあくまでゲストを立てて、進行してくれる。ゲストの立場からすると、何を言ってもうまく拾ってくれるので、大船に乗った気持ちで自信を持って、臨めるのです。この気構えがあるとないでは、まったく出来が変わってきますからね。すると、当然番組の質にも影響が出てくる。
ゲストに限らず、リポーターやパートナーである司会者など、全ての出演者にとって、井ノ原さんは安心できる存在。『この人がちゃんと回してくれるから、僕らは思いっきりぶつかっていけば良い』と思えるんです」(同前)
『あさイチ』の高視聴率を支えているのは、単純に『あまちゃん』など朝ドラの後番組だからという理由ではないようだ。