健康や食事関連の本を見ると、その大部分は“バランスのいい食事”や、“減塩”“糖質オフ”などの食事法が書かれている。
しかし、『自分の好きな物だけ食べれば病気は治る・防げる』(講談社刊)の著者で医学博士の石原結實さんは、「偏食、イコール悪ではない。むしろ、自分の体に本当に必要なものを摂取するための正しい方法なんです」と説く。
「とにかく、好きなものだけを自由に食べ、嫌いなものは一切食べる必要はない。それが体調がよくなり、健康になる極意なのです」(石原さん、以下「」内同)
健康情報があふれている現代では、「健康のために、○○しなくてはならない」という義務感から食べるものを決める傾向があるが、もっと自分の体の声を聞いた方がいいという。
「例えば、最近“子供が肉ばかり食べたがる”という声をよく聞きますが、それは体が冷えていて温まる食品を求めているためだと考えられます。単なる好き嫌い、偏食を直さなくてはと考えるのではなく、なぜそれを食べたがるのかを考えるべきなのです」
ヤンキースのイチロー選手(40才)は子供のころから偏食で野菜は大嫌い。肉ばかりを食べ、大リーガーとなっても朝食にカレーを食べ続けるなど、偏食を続けている。
また、日本の体操界のエース内村航平選手(24才)は、チョコレートが大好き。チョコレートばかり食べ、野菜は食べなかったというが、健康で立派な体を作り上げ、アスリートとして活躍している。チョコレートばかり食べていては高血糖になってしまう人もいるのに、なぜ彼らは大丈夫なのか。
「色白で細身の内村選手は、元来の体質が“陰性体質”。自分の本能に従って体を冷やす野菜を避け、陽性にするチョコレートを好んで食べていたんです。それが体調管理につながり、競技に好影響を与えたのでしょう」
漢方では人の体質を、冷え性の“陰性体質”と、温かい体温の“陽性体質”に分けている。これは生まれつきのもので、行動などによっても変化する。陰性体質の特徴は、冷え症で体力がなく低血圧。それに比べて陽性体質は、筋力があり暑がりで食欲旺盛。
さらに、それぞれに合う食品があるという。陰性体質の人は、陽性食品である北方産の硬いもの、根野菜や塩辛いもの、肉類や赤身の魚を、陽性体質の人は陰性食品である、南方産のやわらかく水っぽいもの、すっぱいもの、葉菜類、ビールや牛乳などを摂るのが体質に合っている。女性は基本的に、陰性体質だと考えればいい。
「ただ陰性体質でも、運動をしたり温泉に入って体が陽性になると、ビールなどの体を冷やすものが飲みたくなるという場合も。重要なのは、どちらの体質かではなく、何を欲しているのかを体に聞くことです。そのためには、空腹であることが重要。お腹が空くと、より本能に近づくからです。食事時間だってそう。お昼になったから食べるではなく、『食べたい』と思ったときに食べることが大切です」
※女性セブン2013年11月28日号