11月上旬、宮城、福島、そして岩手と被災地3県を回られ、被災者を励まされた皇太子ご夫妻。これまで常に体調が不安視されてきた雅子さまだが、岩手では予定時間をオーバーするほど、被災者との時間を持たれた。
実はご夫妻が訪問された釜石市応急仮設住宅の団地関係者には、行政からいくつかの注意があったという。
「まず事前に経歴書の提出を求められました。それも行政から配られるわけではないので、市販の履歴書を買って提出しました。それに皇太子さまがノーネクタイでいらっしゃるから、それに合わせたラフな格好にしてくださいとか、挨拶するときには自己紹介だけで、こちらからは絶対に質問するなとか…。せっかく慰問に来ていただいたのに、息苦しくて大変でしたね…」(団地関係者)
台本こそ配られなかったが、皇太子ご夫妻から励ましの言葉をもらった団地住民たちにも、行政から口頭で注意がされていた。
「“会話で雅子さまの病気のことに触れてはいけない”とか“握手を求めてはいけない”とか指導がありましたよ。でも雅子さまもご病気なのに、こんな遠くの田舎まで来ていただいたんですから、こっちだって“雅子さまも病気なのに心配していただいて、ありがとうございます”って言いたくなるのが人情ってもんじゃない?
でも言っちゃいけないって言われたから泣く泣く我慢しましたよ。感謝の気持ちも伝えられないなんて、おかしくないかね? それだけが残念でしたね…」(皇太子ご夫妻と対面したある住民)
今回、雅子さまは、実際に国民と触れ合われることで、国民との距離を縮められようと前進された。
しかし、一方で行政による過敏すぎる対応は、雅子さまの思いと逆行するものといえる。皇室ジャーナリストの神田秀一氏がこう嘆く。
「受け入れる側の行政とすれば、万全の態勢を敷いて、失礼のないように皇太子ご夫妻をお出迎えしたいと考えるのは当然のことです。しかし、皇太子ご夫妻をはじめとして、皇族がたは数少ない国民との触れ合いの場を非常に大切にされているのも事実です。
両者の考えには、間違いなくズレがあるわけですから、それを少しずつ埋めていくことが 重要なのです。そうしなければ両陛下が掲げられる“開かれた皇室”の真の意味での実現は果たされないのではないでしょうか」
※女性セブン2013年11月28日号