2013年シーズンをBクラスで終えた中日ドラゴンズ球団では、ベテラン・井端弘和に提示された88%ダウンなど大幅減俸が続いている。さぞかし契約更改は荒れるのかと思いきや、吉見一起や和田一浩、井端との二遊間コンビで知られる荒木雅博などのベテランが一度も保留することなくサインしている。相手が就任したばかりの元監督・落合博満GMだから、選手は皆、歯向かえば大きな“しっぺ返し”が来ると分かっているから諦めているのだともっぱらの評判だ。
実際、選手たちは早速、十分すぎるほどの“しっぺ返し”を見せつけられた。
ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞7回のベテラン、今年のWBCでの活躍を記憶している人も多いだろう、井端弘和の退団である。
中日関係者が語るには、井端は落合GMに「反乱分子」と見られていたという。
「もともと井端は“落合の息子”といわれたくらい、両者の関係は蜜月でした。関係が悪化したのは、落合監督による井端の二塁へのコンバートです。遊撃手にこだわりを持つ井端は、これをずっと不満に思っており、落合監督退任後、井端の希望で遊撃手に戻った。いわば、落合さんの方針を否定したわけです。
それに今年はWBCに参加し、活躍したものの、ペナントで失速しました。かねてからWBCに疑問を示し、“選手の仕事はペナントレースで働くこと”といって憚らない落合さんが、面白く思うはずはありません」
その結果が、88%減という大減俸だった。これは明らかな“見せしめ”だったという声が多い。
「球界の慣例では、契約更改は若手から始まって、主力やベテランは後回しにされることが多いが、落合さんはあえて井端に大減俸を打診することから始めた。選手たちに、どんな主力選手であっても容赦はしないという、大きなインパクトを与えたのは間違いないでしょう。選手たちは、あれで完全に戦意を喪失しましたね」(同前)
※週刊ポスト2013年11月29日号