中日ドラゴンズの落合博満GMが、これまでと同じ今日に球界の常識を破壊した「オレ流査定」を契約更改で披露しており、球界では衝撃をもって迎えられている。11月13日終了時点で、契約を更改した中日の選手は48人。そのうち年俸アップを勝ち取ったのは12人だけだった。
しかし落合GMとて、何の準備もなく大規模リストラを行なったわけではない。そこには周到な根回しや、リスクヘッジがあった。
まず、大ナタをふるうための環境を整えた。中日新聞関係者が語る。
「最大の後ろ盾である白井文吾オーナーに、しっかりと礼を尽くして心を掴んでいます。オーナーは最近、夫人を亡くしたのですが、色々と不便だろうと、落合GMが“おっかあ”こと信子夫人を伴って白井邸を訪問。食事などを世話したりしています」
元々、落合氏の一番の理解者だった白井オーナー。落合氏を呼び戻したのもオーナーだった。
「最初は監督として再登板させる予定だったが、落合氏の希望もあってGMになった。それにあたってオーナーが与えた条件は、『人件費の削減』。あとは何をしてもいいといわれたらしい。オーナーのお墨付きの元、全権を握ったのです」(同前)
その結果、驚きの人事が行なわれた。前体制の監督・コーチ陣が12人もクビになったことに加え、事務方も大きく変更。親会社である中日新聞から出向していた坂井克彦・球団社長をはじめ、記者出身の人間が軒並み担当を外され、代わって営業畑出身の人間が招聘されたのだ。この事務方人事こそ、「落合体制」を盤石にするためのものだったと前出の関係者が語る。
「要するに自分のやり方に文句をいってくる可能性がある人間を排除したのです。記者連中は、マスコミ対応の悪い落合さんに、総じて不信感を持っていますからね。ガス抜きのつもりなのか、新代表には一応、記者出身者をあてたが、彼は落合さんのロッテ時代の番記者。昔からの関係で、何もいえませんからね」
※週刊ポスト2013年11月29日号