アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されてからちょうど50年、出版界では関連本の新刊ラッシュが起きている。
米紙ニューヨーク・タイムズの元記者フィリップ・シノン氏は、『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言』(文藝春秋)で、ウォーレン委員会の関係者に5年にわたって取材し、数々の新事実を明らかにした。
オズワルドは犯行直前にソ連大使館とキューバ大使館の人間と接触し、後者の女性とは愛人関係にあったという。さらに、新たに発見したCIA工作員の手記には、オズワルドにキューバのカストロ暗殺の訓練を施したとあり、アメリカとキューバ、あるいはソ連の二重スパイの可能性を指摘している。
ケネディは大統領時代、執務室と閣僚会議室にマイクを設置し、顧問団や閣僚との議論を録音していたという。『ジョン・F・ケネディ ホワイトハウスの決断』(世界文化社)は、265時間にも及ぶ録音からベトナム戦争やキューバ危機など重大事案にかかわる議論を抽出し、歴史家のテッド・ウィドマーが解説を加えた書。ケネディの肉声に迫れる一冊だ。
『ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔』(原書房)は、著者が大統領夫人の元警護官。暗殺時にはケネディから1.5メートルの距離にいた。3発目の銃弾がケネディの頭を捉えたとき、「メロンがセメントの上に落ちたような音」がしたという。間近で見た者の情景描写は衝撃的である。
このほか、国際政治ジャーナリスト・落合信彦氏も『二〇世紀最大の謀略』『ケネディからの伝言』(いずれも小学館文庫)の2冊を上梓している。
※週刊ポスト2013年11月29日号