国会での議論が大詰めを迎えている「特定秘密保護法案」。しかし、一般市民のプライベートを国に調査されてしまう可能性や、国の隠蔽体質が強化される可能性を指摘し、猛反発を受けている。
そもそも、なぜこの時期にこの法案を通そうとするのか。その裏には絡み合う思惑があると、元厚労省官僚で兵庫県立大学教授(行政学)の中野雅至さんは読む。
「中国や北朝鮮との緊張が高まり、安倍内閣は日米安保体制を強化する方向です。しかしながら、現在の日本の体制ではアメリカからもたらされる機密情報は漏れやすいと疑われている。そのため漏洩を防ぐ枠組みが求められているのです。外交安全保障にかかわる情報の管理を厳しくしようとすることは理解できるのですが、今採決するのは拙速。
景気が上向きで、消費税が上がる前に急いで成立させようという政府の魂胆でしょう。しかし、国民の生活に大きく影響する法案なので、時間をかけてじっくり取り組むべきです」(中野さん)
知れば知るほど、不安になるこの法案。ノンフィクション作家の澤地久枝さんも力を込めて言う。
「この法案は国民に知られずに戦争参加への道すら開く悪法であり、憲法改正に匹敵します。こんなに曖昧模糊とした、国家権力が使い放題である法案に、子供たちの未来を託すわけにはいきません。みんなで声を上げていくしかない。ぜひ、反対の声を上げてほしいですね」
※女性セブン2013年12月5日号