中日ドラゴンズに新しく就任した落合博満GMの残酷なまでに合理的な契約更改での査定ぶりが評判だ。ただし、どんなに完璧に見えるものにも、必ず綻びはあるものだ。信賞必罰、超合理的という触れ込みの「オレ流マネーボール」にも、問題が指摘され始めている。まず、行きすぎた合理主義が悪影響をもたらしているのが、スカウト活動だ。
「昨年のドラ1・福谷浩司は中継ぎで9試合に登板し、0勝1敗3ホールドの成績で、ドラ1の基本といわれる年俸1500万円から25%ダウンの1125万円になった。ドラ1が1年目に限度額いっぱいのダウンなど聞いたことがない。温情はないということらしいが、スカウトも活動がしづらくなると頭を抱えている」(中日関係者)
阪神で球団社長を務めた、関西国際大学客員教授の野崎勝義氏はこう語る。
「カネの計算だけでいけば落合GMのやり方が正しいのかもしれないが、球団経営はそういうことではないと思う。忘れてはならないのは、球団はファンがあってこそだということ。ファンは功労者はもちろん、入団してくれた選手を温かい目で見ています。新人にも情をかけず、功労者に88%ダウンを提示して晒し者にするようなやり方をしていては、いずれファンを敵に回してしまうのではないでしょうか」
査定が「公平・公正」ならばまだ言い訳はできる。だが、“そうではない”という声も出始めている。
2012年、中日で投手コーチを務めた権藤博氏は、落合査定を「好き嫌いでやっている」と断じた(『日刊ゲンダイ』11月8日付)。理由は荒木雅博と井端弘和の成績がほぼ同じだったのに、1億円もの差があるのはおかしいというものだ。二塁へのコンバートを命じた監督だった落合と、遊撃手にこだわった井端には確執があったといわれるが、確かに一理ある。
実はこれ以外にも、「好き嫌い」だと指摘されていることがある。
「大量のコーチ陣がクビにされるなか、英智が残ったのは理由があったといわれている。なんでも、彼が落合の息子・福嗣君に嫁さんを紹介したキューピッドだからだとか。結局は息子か、という声も上がっているよ」(中日OB)
※週刊ポスト2013年11月29日号