欧州遠征でオランダ、ベルギーという強豪国と国際親善試合を行なったサッカー日本代表。16日のオランダ戦では2対2の引き分けと善戦。19日のベルギー戦では、序盤に先行を許しながらも、柿谷、本田、岡崎のゴールで見事3-2の逆転勝利を収めた。
この2連戦は、久しぶりにテレビ朝日が中継を担当。解説を担当したのは、松木安太郎氏。松木氏といえば、ループシュートという専門用語を使わず、「ふわっと」と擬音を駆使して、“一見さん”にもわかりやすい解説を心がけていると、一部では定評がある。今回の中継では、それに加えて、視聴者を魅了する松木氏のもう1つの特徴も出ていたという。テレビ局関係者が語る。
「象徴的だったのがオランダ戦の後半6分、本田のシュートが惜しくもバーに当たった時の発言です。『ゴールちょっとズラしたいよね。ほんのちょっとでいいんだ』とあまりに非現実的なことを口にしました。
一見、サッカー解説者らしからぬ発言です。でも、居酒屋で楽しみながら観ているオジさんは、こんなノリでしょう。これらの発言はある種、松木さんの狙いでもある。やはり、スポーツ中継はエンターテインメントの1つですし、専門的な解説ばかりをしても、視聴者はチンプンカンプンになってしまうでしょう。
でも、『ゴールちょっとズラしたいよね。ほんのちょっとでいいんだ』という発言には、日本中から『そんなことできるわけないだろ(笑)』と一斉に突っ込みが入ったはずです。これは、視聴者との双方向性を目指すテレビ局にとって、まさに理想の形ですよ。松木さんが老若男女にわかるボケを繰り出すことで、家庭にも笑いが生まれます。サッカー中継というテレビ番組において、非常に貴重な役割を果たしています」
もちろん、元選手であり監督経験者であるというバックグラウンドを持ち、きちんと試合を解説する力量があるからこそ、解説者として起用されている。そこに、ちょっとした笑いのアクセントと視聴者目線を付け加えることができるのが、松木氏の魅力でもあるだろう。