11月10日に刑期を満了した堀江貴文氏(41)の、出所後初の書き下ろし本『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社)が発売1週間で17万部を超えるベストセラーとなっている。ホリエモンと呼ばれた男が、プロインタビュアー吉田豪氏を相手に、新たな野望を明かした。
──堀江さんは電子書籍じゃないと本を読まないタイプみたいですけど、それだけ紙へのこだわりがない人が、今回なんで紙の本を売ろうとしてるんですか?
堀江:紙の本しか読まない人に読んでもらいたいんですよね。こんなことを言ったら失礼かもしれないんですけど、電子書籍を買うような人たちって放っておいても情報はキャッチしてくれるから、彼らにはメルマガとかブログとかツイッターでも全然伝わる。でも、紙の本しか読まない人には伝わらないじゃないですか。
──紙の文化とネットの文化ってホントに違って、たぶん堀江さんの受け取られ方も違うと思うんですよ。
堀江:テレビのワイドショーしか見ない人たちは、やっぱり2004~2006年ぐらいまでの僕しか知らないので、イメージ的にいうと、進学校から東大に現役で入って、そのまま在学中に起業して、うまくいって、株式上場もして、億万長者になって、みたいな。
──で、いい女と遊んでやがる生意気なヤツが逮捕されてざまあみろ、的な。
堀江:そう。だけど僕の場合、どっちかというとモテない童貞のころのマインドのほうが強いわけですよ。それで『稼ぐが勝ち』(2004年刊)っていう本を書くと、もう完全に誤解をされるっていうのがよくわかりました。
つまりあれは、君も頑張れば女の子を口説くなんてそんな難しいことじゃないんだよ、世の中で自分たちがハードルだと思っているのを乗り越えるのって、すごく簡単なことなんだよってことを伝えたかったのに、全然伝わらないんですよ。まず、読まないので。
──で、ピックアップされた情報だけ使われるじゃないですか。「金でなんでも買える」的な発言だとか。
堀江:完全に誤解なんですけど、あれをマスメディアがうまく使いましたよね。
──堀江さん自身も、誤解されてもいいや的な感じがあったと思うんですよ。
堀江:そうなんですよ。嫌われてもいいと思って、それでべつに実害はないと思ってたんですけど、その実害があったんです。だって捕まったじゃないですか。
──だから捕まったときは世間も「ああ、やっぱり」と思ったわけですよね。
堀江:そうです。やっぱり社会の雰囲気がよくない、よくないことを言う人が幅を利かせているというか。内田樹さんとか、これから日本はどんどん閉塞化していく、みたいなことをおっしゃるじゃないですか。そういう雰囲気から変えていかなきゃいけない。周りの雰囲気がよくなると、僕を妬む気持ちもなくなるだろうなとか思って。それには100万部売るしかない。
※週刊ポスト2013年12月6日号