侍JAPANを率いる小久保裕紀新監督(42)。台湾との親善試合は宣言通りの3連勝を果たしたが、よりスムーズに采配を振るうために、「もっと選手個々の性格や野球観を知る必要がある」との実感を語る。
「たとえば、エンドランのサインを出した方が積極的にバットを振れるタイプがいる。また、送りバントよりもセーフティバントの方がバントをしやすい打者もいる。それは選手個々の性格にも関係するんです。
1年間、解説者をやらせてもらいましたが、そこまで把握するには至らなかった。これからは、チームの中心選手になりそうなメンバーに対して、技術的な話ばかりではなくて、野球観を含めたコミュニケーションが必要だと感じましたね」(小久保氏)
今回の侍JAPANでチームのムードメーカーになったのは、嶋基宏、銀次、岡島豪郎の楽天トリオ。
「実は岡島は、声出しをさせたらチームで一番盛り上げてくれるような選手なんです。銀次がいじられ役になり、嶋がツッコむ。明るいチームになったので、彼らを選んで本当に良かった。
菊池涼介(広島)の身体能力や、物怖じしない性格も今回の発見でした。それからやんちゃな印象しかなかった中田翔(日本ハム)が、会見前にあらかじめ知らされた質問に、どういう言葉で答えようか真剣に悩んでいた姿は、新鮮でしたね」
自らの今後の課題として、選手個々の性格を掴むことを掲げる新監督。では、選手には何を求めていくのか。
「やはり“強さ”でしょうね。日本の環境は恵まれています。だから日本以外の地でも実力を発揮できる強さが欲しい。実は、嶋は台湾料理が苦手で、今回ほとんどホテルの料理に手を付けなかったんです。苦手なものがあるのはしょうがないけれど、『何でも食べますよ』という逞しい選手が多いに越したことはない。ただ鈍感過ぎてもダメ。そこらへんは紙一重ですけどね」
タフな選手の集まり。これが今後の侍JAPAN、すなわち、チーム小久保の色になっていくのだろう。
取材・文■田中周治/撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2013年12月6日号