野球のアジアシリーズの決勝は、キャンベラ(オーストラリア)が14対4で統一(台湾)を下し、初優勝を果たした。日本から出場した楽天は準決勝で統一に敗れ、日本勢初の準決勝止まりに終わってしまった。
とはいえ楽天は、田中将大や則本昂大といった主力投手は使わず、ジョーンズ、マギーの両外国人は帰国。松井稼頭央、藤田一也の二遊間も出場せず、将棋でいえば飛車角落ちの状態で戦ったのだ。4番、5番は、一軍経験の少ない若手に任せていた。
メンバーを見ればわかるように、日本の球団はアジアシリーズを重要視していない。同時に、興味を持つファンも少ない。出場国球団との格差があるため、どうにも盛り上がれないのだ。今大会の楽天は、主力を欠いた布陣でもベスト4まで残ったという見方もできる。
実は、アジアシリーズ(2009、2010年は日韓クラブチャンピオンシップ)が始まった2005年以降の8年間で、出場した日本球団の翌年の成績を見ると、リーグ連覇を果たしたのは2006年の日本ハム、2012年の巨人だけ。翌年3位が3回、Bクラスの4位が2回、2010年のロッテは最下位になっている。特に、パ・リーグの出場チームは4回中3回が、翌年Bクラスに転落している。
ところがアジアシリーズが開催される前の8年間を振り返ると、前年日本一から翌年Bクラスに転落したチームは、ほとんどない。唯一の例外として、1997年日本一のヤクルトが、翌年4位となっただけである(その他はすべて、翌年Aクラス)。
やはり、日本シリーズ後も戦うことで選手の疲労度は増し、翌年に影響を与えているのだろうか。これにはアジアシリーズだけでなく、シーズンが長くなったことも挙げられるだろう。スポーツライターはこう分析する。
「シーズンの試合数は、1997年の135試合から、2001年には140試合、2005年には146試合と増加しました。交流戦の試合数が36から24に減少した2007年に144試合となり、現在もその試合数で1シーズンを戦っている。2004年からパ・リーグでプレーオフが、2007年からはセ・リーグでもクライマックスシリーズが始まっています。
それに加え、日本ハムが2004年に本拠地を札幌に移転、翌年に誕生した楽天は宮城に本拠地を持ったことで、昔と比べ、選手の移動距離も長くなった。セ・リーグよりもパ・リーグの日本一チームが翌年、Bクラスに落ちやすいのと無関係ではないでしょう。
さまざまな要因で、選手の疲労度は濃くなっています。そのうえのアジアシリーズでは、監督が主力選手を休ませたくなるのは当然です」
データ上は来季の楽天に危険信号が灯っているわけだが、そうはいってもアジアシリーズに主力選手が出場しなければ、大会の意義が薄れるのも明白。そうしたことも考慮して、開催時期をズラすべきとの声も挙がっている。
「11月ではなく、翌年の3月に開催してはどうでしょうか。アジアシリーズを3月にすれば、主力選手ももう少し出場できるはずですし、少なくとも今よりは盛り上がる。メディアの取り上げ方も変わってくるはず。
開催地は日本で行えばいい。野球先進国である日本は、もっと主導権を握って進めていけるはずなんです。今のままでは、日本の球団は嫌々参加しているように思われても仕方ないし、何のために開催しているのかよくわからなくなってきます」(同前)