「社会福祉費が増大している」
「このままだと財政破綻する」
安倍政権は「税と社会保障の一体改革」を唱え、増税にまっしぐらだ。増税ほど政治家・官僚が嘘をつく政策はない。そもそも消費税が導入されたときの名分が「高齢化福祉対策のため」だったのだから、今さら全額社会保障に使うと言わなければならないこと自体、これまで嘘をついてきたことの告白に他ならない。
財政が苦しいと言いながら経団連の求めるままに法人税を減税し、国土強靱化に名を借りた公共事業に巨額を投じる計画なのだから、誰のための増税かは明白である。
『SAPIO』(2013年12月号)では、<消費増税は日本を滅ぼす「シロアリノミクス」だ>と題して、安倍政権の“嘘”を暴く大特集を組んでいる。その中からジャーナリスト・武冨薫氏のレポートを紹介しよう。
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国民にとって「増税の請求明細書」とも言えるのが、昨年、厚労省が発表した「社会保障に係る費用の将来推計」である。その内容は12年後の2025年には、
●年金給付費が約6.6兆円増
●医療費が約19兆円増
●介護保険給付費が2倍以上の約11.4兆円増
など合わせて社会保障給付が年間約40兆円増加するというもの。社会保障財源が足りなくなる、よって増税が必要という“請求書”である。
騙されてはいけない。この試算は、日本経済が毎年2%前後成長(名目)し、物価も上昇、平均寿命は約4歳伸び、出生率が今よりさらに減少するなど、社会保障費が目いっぱいに膨れ上がることを前提にした「水増し請求書」なのだ。
そもそも出生率が下がるというのは安倍政権が今進めている「少子化対策」が失敗することを自ら予測していることになる。
また、GDPが本当にずっと拡大するならば、「法人税などの税収が大きく伸びて増税しなくても社会保障財源は増やせる」(元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授)はずである。
※SAPIO2013年12月号