社交ダンスは競技会の数も急増
「庄司ぃ! 庄司ぃ!」「4番!」──11月3日、グランドプリンスホテル新高輪「飛天」の間は甲高い歓声に包まれた。
選手の名が印刷された団扇が方々の席で力強く振られる。ボールルームのプロ選手が所属する三大組織が合同で、日本一を決する大会。テレビによる生中継もあり、ディナー、プログラム付きのSS席3万7000円が、「今年は手に入れるのに苦労しました」(会場の参加者)というほど、年々人気が高まる。6000円の立見席には、マイ脚立の上で目一杯背伸びをしながらビデオカメラを回す姿が目を引いた。
引き締まった肉体。ほとばしる汗。大音量の音楽を裂くように、雄叫びと床を打つ音が会場に響く。日本最高峰の選手たちの踊りを目の当たりにすると、社交ダンスは、高度の技術と演技力が求められるショーであるとともに、高い身体的な能力が必要とされるスポーツであることがわかる。
賞金は1位で40万円だが、順位を上げることが選手の日頃の収入増につながる。ダンス教室の先生としてのレッスン料は順位にスライドし、パーティーに招かれて5曲ほど、時間にしてわずか15分ほどの踊りを披露して、数十万円の「デモ料」を手にする選手もいる。
撮影・文■稲葉なおと
※週刊ポスト2013年12月13日号