2013年は学校の「いじめ」問題が数多く報じられたが、その背景には、表向きばかり取り繕う日本の教育制度に問題がある──そう分析するのは、ビートたけし氏だ。その傾向は、甲子園での高校野球にも見て取れるという。新刊『ヒンシュクの達人』(小学館新書)を上梓したばかりのたけし氏が、高校野球の在り方についてこんな提言を寄せた。
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この国の教育がいかにキレイゴトで表向きばかりを取り繕っているか、それは夏の甲子園を見ればよくわかる。みんなが、出場している高校球児たちを「模範的な子供たち」「さわやかでひたむき」ともてはやすけど、本当にそうだろうか。
まず「郷土の代表」ってところから、ホントかよって思っちまうもんな。「47都道府県の代表」なんて言うけど、毎回出てくる「常連校」のメンバー見てみりゃ、ほとんど県外から呼び寄せた野球エリートばっかりじゃないかよ。こないだテレビで選手がしゃべるのを見てたんだけど、東北だかの選手が、もうコッテコテの関西弁をしゃべってやがるんだよな(笑い)。地元の人はそれでも構わねェのかな。
まァ選手も「県の代表でござい」って胸を張るためにはやっぱりその地方の方言くらいマスターするのが人の道だろ。今後、甲子園はBIG3(※ビートたけし、タモリ、明石家さんま)の英語禁止ホールならぬ「地元方言以外禁止試合」を作ったほうがいいね。郷土の方言以外をしゃべったら、即ワンナウトというさ。
もし東北の代表校の選手がヒットを打って「どや! やったで~!」なんてガッツポーズしようもんなら、審判が駆け寄ってきて「アウト!」と宣告するというさ。あわてて「オラやったべな~」って言い直してももう手遅れだぜってね。
こんなこと言ってると「高校生たちが爽やかに頑張ってるのに水を差すな!」なんていうヤツがいるけど、そりゃ高校生たちは頑張るに決まってるだろって。甲子園のネット裏にはプロや社会人、大学野球のスカウトもワンサカ陣取ってて、ここでいかにいいプレーを見せたかが、将来にかかわってくるわけでさ。
プロに行ってカワイイ女子アナと結婚できるか、地元に戻ってプータローになるかの瀬戸際なんだもん。選手たちは別に周りが頑張れなんて言わなくても、そりゃやりますよって。
※ビートたけし/著『ヒンシュクの達人』(小学館新書)より