就任当初に比べ、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の反日ヘイトスピーチはますますエスカレートしている感があるが、背景には深刻化する経済状況への焦りがあるのか。韓国経済はそれほど危機的な局面を迎えている。
米調査会社のストラテジー・アナリティクスが11月24日に発表した集計によると、日本国内のスマートフォン市場におけるサムスンの第3四半期(7~9月)の販売台数は、iPhoneへの苦戦から100万台と第2四半期(4~6月)の130万台を下回り、シェアも13.0 %から9.9%に急落した。
その上、特許侵害をめぐり、世界各国でアップルとの熾烈な訴訟合戦を展開しており、その旗色はかなり悪い。米国での知的財産権侵害をめぐる訴訟ではアップルが勝訴し、11月22日には、陪審団がサムスンが支払う賠償額を9億3000万ドル(約940億円)と認定し、苦しい状況に追い込まれている。
さらに自動車産業でも、地盤沈下が始まっている。韓国最大の自動車メーカー・現代自動車はかつて韓国国内で8割を超える圧倒的シェアを持っていたが、最近では欧州を中心とする輸入車に押され気味で、2013年9月にはシェアが68.9 %にまで低下。2011年に発効したEUとのFTAで自動車輸出の拡大が期待されたが、逆に国内でドイツ車などの販売攻勢にさらされているのだから皮肉である。
自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの福田俊之氏が解説する。
「現代自動車は、韓国政府主導のウォン安政策によって成長を後押しされてきましたが、昨年来のウォン高で海外市場での競争力が落ちています。また、韓国内で労組が何度もストライキを行なったことで、ブランドイメージを大きく失墜させています」
そんな現代自動車の信用をさらに落としたのが、相次ぐリコール問題だ。米国では今年4月にブレーキランプとエアバッグの不具合で180万台以上をリコール。9月にも韓国国内で66万台をリコールし、2013年の通期決算では2008年以来の減益に落ち込む見通しだ。
※週刊ポスト2013年12月13日号