米国では多くの精子バンクが1人の精子からのドナー提供は25人までといったガイドラインを設けているものの、法律で規制されているわけではない。不妊治療クリニックや精子バンクは優良で人気の精子ドナーから多大な利益をあげているといわれる。
2011年9月5日付ニューヨーク・タイムズ紙は、1人の精子ドナーから150人もの子供が生まれている事例を報じた。記事によれば7年前に精子ドナーで息子を授かったシンシア・デイリーさんは、自分の子供の異母きょうだいがわかると現代版の大家族になると考えた。
そこで、同じ精子ドナーを父親に持つ子供を検索できるオンライン・グループ作りに参加した(現在ではドナーきょうだいの自主的登録サイトがあり、そのデータベースを精子ドナーのIDから検索できる)。
その結果、なんと息子には150人の異母きょうだいがいることがわかった。しかもその数は増え続けていた! また、ほかにも異母きょうだい50人以上のケースが多数あることがわかったのだ。
このニュースが報じられると同じドナーの父親を持つ子供たちが結婚して近親相姦となってしまうことを危惧する声が巻き起こった。
遠い所にある不妊クリニックや精子バンクにわざわざ行く人は少ないと思われる。たとえば息子の結婚相手が同じ都市に住む腹違いの娘になる可能性があるわけだ。
あるテレビのドキュメンタリー番組では、学生時代に精子ドナーになっていた男性がドナーきょうだいサイトで自分の精子の利用状況を調べたところ、74人が確認できた、つまり自分の子供が74人いたという話が紹介されている。
※週刊ポスト2013年12月13日号