国内

被災地宮城の現状 野蒜駅はゴースト状態、旧東名駅は遺跡化

 3.11東日本大震災の被災地、宮城・石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で訪ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートします。

 * * *
 野蒜(のびる)駅を見に行きます。いまだ解体されず、ゴースト状態のままがとても悲しいです。今でもJRの代行バスの停留所として使っているので、トイレは使えるから、利用できるものは利用しようという考えのようです。それにしても駅前のコンビニの破壊されぶりはすさまじい。当時を思い出してつらいです。

 もともと野蒜という地域は明治時代に、宮城県最大の港を造って貿易の要にする予定でした。プランは順調に進んだのですが、途中未曾有の台風に襲われ、一夜にして港が崩壊し、貿易港の夢は頓挫しました。その後、奥松島の観光拠点、遠浅の海水浴場として有名になるのですが、これがまた未曾有の津波に襲われ、街全てが破壊ですから。悲しくてやりきれません。

 ほか廃線となった旧東名駅は、以前にも増して雑草が生い茂り、遺跡化しています。どうしたものか、残すべきなのか、撤去すべきなのか悩むところです。松島側の新線の起点となるのが、陸前大塚駅です。ここはホームの隣が海ですから、高潮でも濡れてしまいます。これはいかんだろうということで、現在かさ上げの改良工事をしています。

 現在仙台と石巻間は、東北本線の小牛田経由で、延々2時間ぐらいかけて乗り継がなければなりません。たまに直通列車が運行されますが、あまりにも本数が少なく、見たことはありません。急いでいる人は、30分に1本走っている高速バスで70~80分ぐらいで着きます。

 これで仙石線が開通したら、仙台、石巻間は最短で50分で快速を走らせるとのこと。とにかく仙台への通勤、通学が不便で仕方ないです。早期の開通を望みます。そして新しく開通した仙石線で石巻に帰るのが、私のささやかな夢なのです。

※女性セブン2013年12月19日号

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