12月7日、マリンメッセ福岡で行われたフィギュアスケートのGPファイナルで2連覇を果たした浅田真央(23才)。そのテレビ中継でも多くの視聴者が気になったであろう人物が、小柄で白髪の男性だ。
真央の表情を見ながらスッとベストなタイミングでドリンクを手渡し、演技直前には言葉数は少ないものの、小さな声で激励し、笑顔で真央をリンクに送り出す。テレビで見る限り、まるで真央の“爺や”“執事”のような存在──それが佐藤信夫コーチ(71才)だ。
カメラに映し出される表情はいつも柔和で、“好々爺”といった感じの佐藤コーチだが、彼をよく知るスケート関係者はこう語る。
「現役時代に全日本選手権を10連覇した名選手で、自分の技術に絶対の自信があるから、指導者としてはものすごく頑固です(苦笑)。“鬼コーチ”として有名なんですが、ただ厳しいだけでなく、精神面などあらゆる面で選手を自分の手のひらにのせて育てていく。経験、指導法をひっくるめて、日本人コーチとしては間違いなく世界トップレベルの名伯楽です」
佐藤コーチは練習や試合に支障をきたさないように、“鉄のカーテン”ともいうべき厳しさで、私生活も容赦なくしっかりと管理する。
「佐藤コーチは表立って注意することはないんですが、真央ちゃんがプライベートの遊びなどで疲れていて、試合や練習で失敗したときには、ここぞとばかりに“ほらね。やっぱりダメだったでしょう”って言って、選手に自覚をうながし、今何が大事なのかを認識させ、練習に集中させるんです」(前出・スケート関係者)
もちろん佐藤コーチにしてみれば、真央のためにしていることなのだが、されるほうの真央にしてみれば苦痛だったようだ。
「真央ちゃんは“佐藤コーチの締めつけがキツい”なんて漏らしていた時期もありましたよ。周囲も佐藤コーチのガードが堅くて近寄り難い空気になっていましたからね。真央ちゃんも年頃の女の子ですからね。そりゃ息を抜きたいときもありますよ。でも佐藤コーチにしてみれば、“金メダルを獲るには、そんな時間はない”という思いだったのではないでしょうか」(真央の知人)
佐藤コーチの信念は、「心を見極めて、選手が自主的に思わなければいけない」というもの。3年間の師弟関係の中で、苦悩の日々を越え、低迷していた成績も復調。佐藤コーチが地道に教え込んできた基礎が、ついに実を結び、今大会は失敗したものの、トリプルアクセルも高確率で決められるほど、精度が上がってきた。
「結果も出てきたことで、真央ちゃんの佐藤コーチへの反発も次第に信頼に変わっていったそうです。今ではすっかり“あ・うん”の呼吸なんですよ」(前出・真央の知人)
※女性セブン2013年12月26日・2014年1月1日号