限られたチャンネルの限られた番組しか見られなかった時代に比べ、今はBS局のみならず、WOWOWなどの衛星局や100チャンネル以上もあるケーブルテレビなど、選択肢は格段に多様化している。
単純に考えれば、チャンネル数が増えれば、視聴者は自分の趣味にあったニッチな番組に走るようになり、テレビ番組の視聴率が分散するのも当然だ。さらにネットやゲームなど、テレビ以外の娯楽が台頭してきたことも、視聴率低下の原因とするのが一般的な見方だ。
しかし今、テレビという媒体そのものが、他のコンテンツに浸食され始めている。あるテレビ局員がため息をつく。
「子供がテレビに向かうのは録画したアニメを見たりゲームをする時だけ。妻ももっぱら映画やお気に入りの歌手のライブをDVDで見てばかり。テレビ局員の家なのに、誰も今まさに放送されているテレビ番組を見てくれない」
※週刊ポスト2013年12月20・27日号