中国有数の名門大としても知られる中国人民大学の紀宝成氏・前学長が愛人の美人秘書、胡娟さんの経歴などを詐称して、同大の教授として登用するという不正を働いていたことが分かった。中国情報専門のインターネットサイト「博訊( ボシュン)」が同大教授の発言として報じた。
また、同大では学生部長だった幹部職員が裏口入学の斡旋をし、数十億円を蓄財しており、カナダに向けて逃亡する直前、空港で逮捕されていた。同大は中国共産党の官僚養成機関としても知られているが、教育現場にもかかわらず、まさに党幹部の間で腐敗が蔓延していることを図らずも裏付けることになった。
紀前学長と胡娟さんとの関係は大学中で知らない者はいないほどで、胡娟さんが教授になった際にも、「情実人事ではないか」と学内で囁かれていたという。
これについて、党幹部の不正を追及する党中央規律検査委員会が内定捜査をして、不正の事実をつかみ、胡娟さんを逮捕し、教授を罷免するという措置を下した。
紀前学長は現在、中国教育省で要職についているが、すでに規律検査委によって取り調べを受けており、逮捕は時間の問題とみられている。
一方、裏口入学の斡旋をしたのは蔡栄生・同大学生募集・就職部長。蔡氏は同大の推薦入学枠があることを悪用して、知人から子息の入学を相談されると、多額の賄賂を条件に裏口入学を斡旋したもの。賄賂の額は最高で100万元(約1億6000万円)といわれ、斡旋した学生数は全部で100人は下らず、数十億円にも達していると伝えられる。
ところが、中央規律検査委の捜査の手が伸びていることを知った蔡氏は、偽造パスポートまで用意、広東省深セン市の空港からカナダに高飛びしようとしたところを空港で張っていた規律検査委の係官によって身柄を拘束されたという。
中国の汚職の深刻さは幾度となく報道されているが、大学もその例外ではないようだ。