誕生して半世紀を超えるテレビ視聴率は今、どのように調査しているのだろうか。視聴率調査を行なうビデオリサーチの広報担当者が語る。
「無作為に抽出したサンプル家庭のテレビに、視聴している番組を記録する機器を取り付けます。地方によって、チャンネル数や放送内容が異なるため、関東や関西というように地区ごとに視聴率を集計しています。現在は全国の27地区6600世帯をサンプルとしています。関東、関西、名古屋地区は600世帯、その他の地区では200世帯です」
ちなみに関東の総世帯数は約1600万。関東地区の視聴率は約0.004%のサンプルで算出されていることになる。ただし統計学的には、これで大きな誤差は生じないとされる。
では、実際にどのように計測されるのか。サンプル家庭に選ばれた経験があるという男性に聞いた。
「テレビには視聴データを記録・送信する機器がつなげられました。専用のリモコンも貸し出され、テレビをつけると家族の誰が見ているのかを選択するボタンを押すよう促されます。それ以外は普通にテレビを見るのとまったく変わりません」
こうして記録された視聴データは、電話回線を通じて毎日早朝に集計センターに送られる。その結果、放送の翌日には視聴率の速報値が各テレビ局や代理店などに伝えられるのだ。
こうして調査される視聴率は、テレビ局にとって“お金”そのもの。とあれば、局員が何とかサンプル家庭を探り当てて“営業”をかけそうなものだが、それは絶対に不可能だと、前出のビデオリサーチ担当者はいう。
「サンプル家庭は統計学理論に基づいて無作為に選んでいますが、マスコミ関係者のいる世帯は除いています。それに、どこがサンプル世帯なのかはごく一部の関連部署の担当者しか知りません。二重三重のセキュリティで守られており、社長でさえその情報に触れることができません」
その上、サンプル家庭は2~3年ですべて入れ替わるという。気になる謝礼は「寸志程度」(前出・サンプル経験者)とのことだ。
※週刊ポスト2013年12月20・27日号