2014年にはデビュー60周年を迎えるはずだった島倉千代子さん(享年75)。亡くなる3日前には、最後の力を振り絞って新曲『からたちの小径』を録音(12月18日発売)。葬儀・告別式ではこの曲とともに、「できる限りの声で歌いました。人生の最後に素晴らしい時間をありがとうございました」という彼女の肉声が流れた。
そんな島倉さんが、誰よりも慕っていたのが美空ひばりさん(享年52)だった。島倉さんと美空さんは同い年。島倉さんとは40年来の仲という音楽文化研究家の長田暁二さんが言う。
「私が抱いている印象は、“動のひばりさん”に対し、“静のお千代さん”。島倉さんはひばりさんをすごく尊敬されていて、いつも2番手にいるようでしたが、実は個性が違うだけ。堂々と東西の横綱を張っていたと思います」
美空さんが亡くなった時には3日間、柩に寄り添い、涙に暮れた島倉さん。2013年3月30日、75才の誕生日に行われた「コロムビア大行進2013」コンサートでも、「ひばりさんの後について頑張ってきた」と語り、『越後獅子の唄』を熱唱した。
人に裏切られて多額の借金を背負い、乳がんや肝炎など病にも悩まされ、まさに「人生いろいろ」だった。
しかし、島倉さんはいつもこう口にしていたという。
「私はいい人たちに恵まれました」
前出・長田さんが続ける。
「ひばりさんもそうですが、万城目正先生や古賀政男先生など、超一流の先生がたに曲を書いてもらっていた。そのことにいつも感謝していたし、『私、ひとりで偉くなったんじゃないの』『楽屋裏の人たちが支えてくれるから、今日の私があるんです』ともおっしゃっていました」
今頃は天国で美空さんに再会し、最後まで歌手人生を貫いたことを報告しているに違いない。
※女性セブン2013年12月26日・2014年1月1日号