TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が進む中、日本の農業が大きな転換点を迎えようとしている。それを受けて、農業関連銘柄にも妙味が出てきそうだと分析しているのは、日本インタビュ新聞社代表で経済評論家の犬丸正寛氏だ。いま犬丸氏が今後の株価上昇が期待される銘柄として注目しているのは、井関農機(東証1部・6310)だという。以下、犬丸氏の解説だ。
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井関農機の足下の業績は好調だ。民主党政権時代に制定された農業者戸別所得補償制度と、その後を受けた2013年度の経営所得安定対策により、交付金を受けた農家が農機の買い替えを進めた。その影響で、2013年第2四半期の経常利益は前年同期比28%増となった。
農家に対する所得補償が2013年度で終了し、農機の買い替え需要はピークを越えたという判断から、2014年3月期の経常利益は微減を想定しているが、経常減益となったとしても一時的なものに留まると考えている。
まず、農林水産省はコメの減反政策を、5年後をメドに廃止する方針を正式に示した。さらに、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉で、政府は農業の関税維持を転換する方向で調整に入っている。その結果、他業種からの農業参入がいちだんと活発化し、農業の大規模経営化が全国で進展する可能性が高い。そのメリットを真っ先に享受するのは、同社となるだろう。
※マネーポスト2014年新春号