能年玲奈演じるアキちゃんと片桐はいり演じる安部ちゃんが街中で有名人を見つけて、じぇじぇじぇ! その有名人は、なぜかお笑い芸人の三又又三(46才)だった――。2013年に大ヒットしたNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。小ネタ満載のドラマの中で、こんな面白すぎる“小ネタ”が話題となった。ドラマでは安部ちゃんが「岩手県出身、花巻市の医者の息子、元コロッケの付き人、元芸名:ハムエッグ」と三又のパーソナル情報をやけにくわしく説明。このシーンはツイッターなどで反響を呼んだ。この注目ぶりを本人はどう思っているのか? 三又に直撃インタビュー!
――『あまちゃん』出演のインパクトは大きかった。出演オファーがあったのはなぜ?
三又:なんなんでしょうね。脚本家の宮藤官九郎さんとも知り合いっていうわけでもないんですよ。今から10年ぐらい前かな? 俺がキャバ嬢とデートしようと思った時、彼女がどうしても「クドカンの舞台が見たい」と言いだして。
「クドカン? 誰だそれ?」と思ってたんだけど、チケットをとろうとしたら、人気過ぎてとれなくて。たまたま友達の元世界のナベアツ(桂三度)が宮藤さんと知り合いで。ナベアツを通してなんとか宮藤さん本人にチケットをとってもらったんですよ。チケットを受け取る時に劇場の裏口で会ったのが初めて。そのときに、自己紹介代わりに博士(水道橋博士)の原稿(『笑芸人』2004年秋号)のコピーを渡したんですよ、俺のことが書いてあるんで。そのときもほとんど話してないし、舞台見て帰ってきただけなんで、それ以降はまったく会っていないんっすよ。
――ちなみに、どんな舞台だったんですか?
三又:ほとんど寝てたんで覚えてないんっすよ。
――そうですか…。『あまちゃん』では演出で「こうやってくれ」というリクエストはあったんですか?
三又:いえ。まったく。ガチで俺の私服ですし、バッグも俺のヴィトンで。NHKだからロゴ見えないように裏返しにしてたんですけど。最初はただ女の子と歩くという設定でしたけど、演出のかたから「マイクをつけるんで、適当に話をしてつないでくれますか?」といわれて、自分の自慢話を相手の女の子にひたすらしゃべっていました。「俺、元ジョーダンズで武田鉄矢のモノマネだけをしているって思ってない? 誰の弟子だと思う? 三又又三の名付け親はビートたけしさんだから」って話していたら、能年さんと片桐さんとすれ違うタイミングが近づいてきて。
俺としては延々と自分の話をしていただけなんですが、たまたま2人とすれ違うときに「三又ダンスっていうのをしていてね。みまた、みまたってパン一(パンツ一丁)で」というアドリブの音声がどんぴしゃでハマったんです。放送では三又ダンスで使う山本リンダさんの『狙いうち』もばっちり使われていて。あれはクドカン演出じゃなくて、まさに三又演出ですね。
――三又ダンスといえばパンツ一丁で『狙いうち』のメロディにあわせて「みまたーみまたみまみまた」っていうアレですよね?
三又:そう。俺の持ちネタですからね。
――『あまちゃん』出演後、反響はありました?
三又:すごいなあって思ったのは芸人仲間からの反応ですね。放送直後、10年ぶりにダチョウ倶楽部の肥後(克広)さんから連絡があって。神戸で舞台をやっている合間だっていうのに、興奮気味に「お前、すげー」って電話がかかってきたんです。あんなに人に興味がないダメ人間のリーダーが「すげーすげー」と電話かけてくること自体がすごいんですよ(笑い)。かなりの衝撃でした。
――違う回では本人は登場していないけれど、安部ちゃんのセリフで「三又又三なんてまめぶに手もつけなかった」と言うシーンもありましたね。
三又:ありましたね。でも実際にまめぶって食べたこともないんですよ。『あまちゃん』は海沿いの地域の話ですからね。ぼくは花巻市出身なんで、まめぶって見たことも食べたこともいまだにないんですよ。
【三又又三(みまたまたぞう)】
1967年5月27日生まれ 岩手県花巻市出身。1992~2007年までお笑いコンビ『ジョーダンズ』として活躍。武田鉄矢のモノマネなどで人気を博す。解散後は舞台『お~い!竜馬 −青春篇−』を主演、企画、プロデュースする。ブログ『三又又三のおーい竜馬への道』(http://www.aspara.co.jp/bakachin/)