国内最大級のネットオークション一括検索・比較サイトを運営する「オークファン」。同社は2013年4月に東証マザーズへの上場を果たした。
「上場を目指してから実現するまで最低3年はかかる。準備を始めた頃は、政権交代があったり、アベノミクスが来たりといったことは想像もしていませんでした。そう考えれば、タイミングがよかったので、かなりラッキーだった」
そう振り返る武永修一社長はまだ35歳。彼のビジネスの原点は、少年時代にまで遡る。小学生当時、お菓子のおまけの「ビックリマンシール」集めが流行っていた。自分が持っていないシールを同級生同士で交換するのだが、武永氏はその仲立ちをして、手数料代わりにさまざまなシールを受け取っていたという。中学生になると対象はゲームソフトに変わり、小遣いを稼いだ。
京大法学部に進学し、弁護士を志したが、法科大学院への入学資金をためるためにネットオークションで中古のブランド品を売る商売を始め、結局、そのまま起業するに至った。いわゆる「学生起業家」である。
「売上高が億単位になり、2004年に会社を設立。でも、競合がたくさん出てきてすぐに伸び悩んでしまった。そこでブランド品の売買事業を売却し、オークション相場情報を提供するオークファンをスタートしたんです」(武永氏)
しかし、スタート当初は毎月赤字が続き、事業の売却まで考えていたという。
「オークファンは永遠にお金にならないんじゃないかとまで思いましたよ(苦笑)。でも、インターネット事業は、最初は苦しくても、一度黒字化してしまえば従業員を増やす必要がなくなる。数字が伸びても固定費は増えないので、気がつけば利益が蓄積していた」(武永氏)
インターネットでの売買やリサイクルが一般化するという、時代の変化も追い風になった。上場という成功を収めた武永氏だが、意外にも「学生起業家はあまりおすすめしませんよ」と語る。
「僕はたまたま生き残りましたが、ビジネスはそんなに甘くない。法律に引っ掛かったら一発でアウトですし、強靱なメンタルも重要。一度社会に出て、会社というものを十分に理解した上で起業するほうがいい。今、会社勤めをしている人なら、まずは副業から始めるといいと思います。今の収入を得ながら、週末に副業でいろいろなことを試してみる。自分のビジネスセンスも磨きながら、レベルアップしていけると思います」
※週刊ポスト2014年1月1・10日号