国際情報

櫻井よしこ氏 中国の尖閣侵攻は日米同盟機能しなくなった時

 中国が突如防空識別圏を設定するなど軍事的脅威を日本に突きつけている。2014年も、この危機は高まりこそすれ、去ることは考えにくい。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が、この危機をどう乗り切るべきか提言する。

 * * *
 中国は国際ルールを無視して一方的に防空識別圏を設定したことで、世界中に敵を作りました。米国やアジア諸国のみならず、EUも反対を表明しました。

 しかし、中国がこうした反発を予想していなかったはずがありません。反発を覚悟のうえであえて行なったことの意味を考える必要があります。

 習近平国家主席が軍を抑えきれなくなっているとの見方がある一方、習主席自身が反発を恐れずに突き進むことを決めたと見る専門家もいます。いずれにしても、私たちは中国の膨脹主義がこれから何十年も続くことを覚悟しなければなりません。共産党独裁が続く限り、独裁体制を守るために膨脹を続けようとするからです。

 膨脹主義の根底にあるのは、中国は世界の頂点に君臨し、どんなに理不尽なことでも中国の価値観に従わせずにはおかないという、恐るべき21世紀の中華思想です。

 中国が世界中の反発を承知の上で防空識別圏を拡大してきた以上、必ずや尖閣諸島に手を伸ばしてくるはずです。数百隻の漁船で押し寄せるなど様々なシナリオが語られますが、どんな形の侵攻にしても、それは紛れもなく中国人民解放軍と習近平国家主席の意志を体現するものです。中国が尖閣諸島に手を出す時は中国の国家ぐるみの侵略が始まる時ということです。

 中国が実際に行動に出るのはいつか。それは尖閣諸島に侵攻しても米軍が動かないとわかった時、すなわち日米同盟が機能しないことが明確になった時です。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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